ロンジェ琉球風水アカデミー、学長の東道里璃です。
沖縄国際大学経済学部地域環境政策学科の「グローカルセミナーⅠ」にて、2023年5月22日と5月23日の2週にわたり、講師を務めさせていただきました。
◆5月22日 講義(1回目):講義「風水の歴史、琉球風水に歴史について」【沖縄国際大学教室にて実施】
◆5月29日 講義(2回目):首里城巡検【首里城公園にて実施】
本講義のご担当講師、砂川かおり先生よりお声がけいただきました。拙著『風水空間デザインの教科書』をテキストに、大学の授業の一貫で琉球風水についてお伝えさせていただきました。
沖縄タイムスの副読紙である「タイムス住宅新聞」では、10年以上にわたり様々なコラムを執筆させていただきました。かおり先生は、新聞コラムをよく読んでくださっていたそうで、本の発売と同時にご購入くださり、ご連絡いただきましたことでご縁がつながりました。
以下、講義のねらいや到達目標を沖縄国際大学のシラバスより抜粋いたします。
対象 | 外国に興味がある学生、留学の準備をしたい学生 |
ねらい | グローバル化が進行する中で、経済活動も環境協力も国際的な視野が求められます。他国の情報を収集するグローバル適応力と共に、自らを主張できる国際人として、まずは自らの足元、ローカルな情報についても学び、表現力も高めていきます。 |
到達目標 | 海外に出掛ける時や留学時に必要な情報を収集する力を習得する。また、海外で自らや出身地を紹介できる知識と表現力を身につける。受講生のレベルに合わせて、到達目標を設定し、可能な範囲で外国語での自己紹介、沖縄の紹介(経済分野・環境分野を含む)ができるようになることを目標とする。 |
これから海外留学を目指す学生さんたちが、海外で自らの国、地域について紹介できる知識や表現力を身につけるという内容。私自身も海外20カ国を旅してきて、ニュージーランドやイギリスで留学経験があります。海外に憧れを抱く一方で、日本の伝統や文化を語れるだけの知識や経験がなく恥ずかしい思いを何度もしました。「外国人に日本のことを誇りをもって語ることができる人間になりたい」と強く感じたことを記憶しています。歴史、伝統、文化を学び、教養を身に着けたいと思ったきっかけは、海外留学の経験が大きいのかもしれません。
大学の講義では、「これから世界へ飛び立つ学生の皆様方へ、私になにができるだろうか」と、内容を考えました。
一回目の講義は沖縄国際大学キャンパスでの座学でした。どこで講義を行う時もまずは私の自己紹介をさせていただきますが、今回は大学講義のコンセプトに合わせ、普段はお話しない海外での体験なども交えてお話をしました。そして、学生のみなさんに自己紹介をしていただき、留学したい国、留学の目的などを一人一人お聞きしました。「オーストラリアでダイビングがしたい」「カナダでスキーがしたい」「ニュージーランドでバリスタの学校に行って、現地のカフェで働きたい」「アメリカで暮らして生活文化を体験してみたい」など、夢いっぱいの自己紹介で、私までワクワクしてきました。
今回の講義では、「世界の中での沖縄」を意識して講義の構成を考えました。琉球風水の解説をするのも、琉球だけにフォーカスするのではなく、中国、韓国、日本の風水の歴史的流れを踏まえ、琉球風水が世界の中でどのような位置づけなのかを解説するところからスタートしました。風水とは、占いやテクニックのイメージが強いと思いますが、その根底には、東洋的な「思想」「哲学」があります。現代の西洋化した世界の考え方と根本的な価値観が違います。それを、どちらが「良い」か「悪い」かという見方ではなく、違いや特徴を理解することで、新しい世界を発見するためのきっかけにしてほしいという気持ちでレクチャーを行いました。
『風水空間デザインの教科書』は、実は大学の講義をイメージして書いていました。この本には、大学の教科書にあるようなアカデミック感は漂っていません。しかし、1年から2年くらいかけて、この内容を若い世代に伝えていくことができればという想いがこもっています。風水空間デザインを、テクニック以前に、思想、哲学、歴史からじっくり伝えていけるのは、一般教養をじっくり学べる大学や専門学校という場だと感じているからです。
そして、2回目の講義は、首里城公園を一緒に歩きました。首里城の風水景観が一望できる東のアザナで、私は以下のような問いかけをしました。
「あなたがもし、琉球王朝時代の風水師で、国王から首里城の風水景観を取り戻しなさい」と王命を受けたら、どんな仕事をしますか?それを実現するには、何から初めて、コストはどのくらいかかって、時間はどのくらいかかりますか?」
これは、レポートの宿題でもあり、現在、楽しみにレポートの到着を待っています。
講義の後、学生さんにご感想をお聞きしたら、「風水のことは難しくて正直理解はできませんでしたが、とにかくいろいろ考えさせられました」というご意見が帰ってきました。
今回の講義では、難しいことを理解してもらうことではなく、王朝時代の風水思想という価値観を知り、その視点から首里城を取り囲む景観を見て、何かを感じ取ってもらいたいという想いで行いました。そして、自分ごととして考えてもらえるきっかけにしてもらえればと思っていたので、とても嬉しいご感想でした。
さて、私の琉球風水研究は、様々な学術分野を含んでおり、アカデミックな分野では一体どこに属するのかというは、実は自分でも不明確な部分がありました。建築やインテリアのテクニック的な部分が多く含まれているため、これまで講演のご依頼をいただいてきたのは「住宅」に関わる分野でした。今回は「環境学」の分野でしたが、この環境分野が琉球風水と最も親和性が高いことを今回の講義で実感しました。とにかく、講義の内容を考えるのが、とても楽しかったです。
学生の皆様にとっては、初めて聞く風水思想は、きっと難しく感じたこともおおかったのではないかと思います。しかし、今回の講義をきっかけに、風水思想という価値観のフィルターを手に入れたことで、これまで見ていた当たり前の風景の中に、先人の想いを見つけ出していただければ嬉しく思います。
東道里璃 (とうどう りり)
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