上写真:沖縄の浜下りをイメージした琉英折衷テーブルのしつらえ

日本では、新暦(グレゴリオ暦)で3月3日に雛祭りのお祝いをします。一方、沖縄では、太陰暦、つまり、月の満ち欠けによる暦の3月3日で「浜下り(はまうり)」という年中行事があります。どちらも、同じ中国に起源があります。3月3日、上巳(じょうし)の節句について、中国、日本、沖縄、それぞれの歴史と文化を比較検証します。

ただし、数百年~数千年前のことですので、諸説ありますし、同じ国でも地方によって違いがあります。代表的な例として挙げられるものを検証して解説します。

旧暦と新暦

日本、沖縄は1872年、中国は1912年にグレゴリオ暦を正式な暦として採用しています。これ以前は、旧暦=太陰太陽暦でした。暦に関する年中行事は、旧暦が起源になっています。旧暦で行事を見ていくと、本質的な意味にアプローチすることができます。

旧暦=太陰太陽暦

中国の暦法は、太陰太陽暦であり、夏暦(かれき)・農暦(のうれき)・陰暦(いんれき)・旧暦(きゅうれき)などの呼び方があります。1月の長さを月の月齢約29.53日を基準に、1年における月の配列を太陽の運行を基準に定めます。新月を朔、満月を望といい朔日を月の初めの日とします。季節は1太陽年を24分した二十四節気を基準に決められます。年始は前漢の太初暦以来冬至の翌々月、つまり立春前後に設けられ1月には必ず雨水が含ます。これにより1年の始めと四季の始めが一致するようにされました。

※Wikipedia「中国暦」より一部抜粋

中国の暦は、日付と時間を「十干十二支」の漢字で表すことができます。年中行事は、月の満ち欠け、太陽の動きによる二十四節気、十干十二支の意味によって設定されました。旧暦の暦は、新暦よりも約1ヶ月の遅れがあります。

旧暦と十二支(太陽暦で1年を12分割しています。二十四節気の節入りの日が月の始まりです)

春:寅(1月)卯(2月)辰(3月) ※2月4日頃の立春が、太陽暦での1年の始まり

夏:巳(4月)午(5月)未(6月)

秋:申(7月)酉(8月)戌(9月)

冬:亥(10月)子(11月)丑(12月)

※旧暦の1月1日とは、二十四節気の雨水(2月19日頃)の直前の新月の日(太陰暦=旧暦の元旦)

1年の始まりの日は、太陽暦の「立春」と、太陰暦の「雨水直前の新月」の2種類があります。

新暦と十二支(二十四節気の節入りの日が月替りの日になります)

丑(1月)寅(2月)卯(3月)辰(4月)巳(5月)午(6月)未(7月)申(8月)酉(9月)戌(10月)亥(11月)子(12月)

新暦

ローマ教皇グレゴリウス13世が命じ、1582年10月15日金曜日(グレゴリオ暦)から行用されている暦法。現行太陽暦として日本を含む[注釈 2]世界各国で用いられています。

※Wikipedia「グレゴリオ暦」参照

中国

中国の上巳節

「上巳」とは何かというと、辰月(旧暦=太陰太陽暦3月)に入ってから、最初の巳(み)の日です。中国の暦は十二支十干の組み合わせでできており、巳の日は12日に1回訪れます。新暦で考えると、辰月は4月になり、4月の節入りの日「清明」が辰月のはじまりの日です。「清明」の後の最初の巳の日が「上巳の日」です。

中国が「周」(BC11世紀~3世紀)の時代には、すでに「上巳節」があったようです。男性も女性も、川や海などの水辺で禊をし、服を洗濯する道教由来の行事です。時期的には、農作業が始まる時期で、その前に身を清める農耕儀礼の一つでもありました。

また、曲水(緩やかにカーブを描いて流れる川)に盃を流し、自分の目の前に盃が流れて来る前に詩を読む「曲水の宴」という風流なイベントも行っていました。春の楽しいピクニックイベントで男女の出会いの場でもあったそうです。

2024年3月の中国の新聞では、伝統文化としての「上巳節」の復活イベントが開かれ、女性たちが水辺で足を水にひたし禊をする写真が掲載されていました。中国では、男女がデートをする「失われた恋人の日」だそうです。ロマンチックなイベントですね。

「魏」の時代(3世紀頃)になると、上巳節は巳の日ではなく、太陰暦の3月3日に定められました。なお、奇数は、陰陽の「陽」ととらえ、「陽」が重なります。これを、「陽」が重なることを瑞兆と捉える考え方と、「陽」が重なることで、「陰」に転じるために邪気の影響が強いと捉える考え方があり、文献により主張が異なります。

中国の寒食節

中国に「清明節」の年中行事が定着する以前、清明の頃に「寒食節」という行事がありました。、「冷たい食事を食べる」という意味です。起源には2つの説があります。

一つは、春は山火事が多いので、一ヶ月火の使用を禁止していた説。もう一つは、部下を焼死させてしまった王が部下を弔うために、火の使用を禁止した説。ここからお墓参りをする習慣もできたようです。冬の間に伸びた雑草などを刈り取りお墓のお掃除をします。

「清明」「寒食節」「上巳節」は、いずれも、太陰太陽暦の太陽暦の節目。そして、「上巳節」は、3世紀頃に3月3日になり、太陰太陽暦の太陰暦で固定されました。この3つの節目は、時期が大変近いものでした。

中国の清明節

もともと、「清明」は二十四節気の一つというだけで、イベントがあったわけではありません。中国が「唐」の時代(7世紀ころ)に、「寒食節」と「上巳節」が一緒になり、「清明」の時に、お墓参りと春のピクニックを一緒に行うようになったそうです。17世紀中期頃、康煕帝が皇后の墓所で霊を慰める儀式を行ったことから、墓前祭として本格化したようです。現在の中国の「清明節」では、「寒食節」の名残で、火を入れた食べ物を食べない風習が残っている地域があるそうです。

もともと中国にあった「上巳節」は、唐の時代の「清明節」との合併で衰退し、現在はほとんど行われていません。現在の中国では、「清明節」は国民の祝日として3連休となり、お墓参りをする時期となっています。「寒食節」と「上巳節」は衰退し、「清明節」が盛大に行われています。

日本

日本の上巳の節句(雛祭り)

日本の「上巳の節句」は、奈良時代の『日本書紀』にさかのぼります。3月上巳に、中国と同じく盃が川から自分のところへ流れてくる前に詩を読む「曲水の宴」があったことが書かれているそうです。そして、平安時代になると、『源氏物語』の中に3月3日の「曲水の宴」の様子が登場します。平安時代は、遣唐使によって中国文化が持ち込まれた時期です。中国で「清明節」に吸収される前の「上巳節」の文化が日本に伝わってきているようです。国を代表する留学生の遣唐使が持ち帰ってきた風習で、宮廷文化として取り入れられていきました。

日本の「上巳の節句」は、初めは宮廷、貴族に始まり、武家に取り入れられて、次第に民間に及んでいきました。もともとは、禊をして穢を払う意味から、形代(かたしろ)として人形をつくり、それに穢を移して流した「流し雛」があり、女の子の人形遊びのおもちゃとなり、次第に豪華になっていきました。江戸時代には、華やかな雛人形へと発展します。平安貴族の文化に始まる雛人形は、しばらくは上流階級の女性のためのものでしたが、江戸時代の中期以降、特に、元禄時代になると庶民にも普及していきました。

3月3日には、海辺に近い村では、海辺に出て暮らす風習が日本全国に及んでいます。「磯遊び」の名で呼ばれています。雛祭りでは、はまぐりやアサリなどの貝を調理する風習が広くおこなわれているのもこれに関連していると考えられます。岩手県、東京、千葉県君津、伊豆半島、長野県下伊那、山口、瀬戸内海、土佐、九州北岸、鹿児島奄美地方など、この日に、飲食の集会、子供の行事、若者や娘たちの行事となっていました。春の農作に先立って、海や山に出て、一日を送る儀礼が必要と考えられていたようです。山に近い人は、花見をしたそうです。もともとは、女子の節句ではなかったが、端午の節句に対になって、女子の節句になったようです。

雛人形、甘酒、桃、はまぐりなどは、日本が独自につくり出した雛祭り文化です。明治時代に暦が切り替わり、雛祭りは、新暦(グレゴリオ暦)の3月3日に固定されました。

日本が平安時代、当時の中国では、清明節は二十四節気の一つにすぎなかったので、日本には清明のお墓参り行事が文化として伝わってこなかったようです。そのかわりにといってはなんですが、日本では仏教由来の日本独自の雑節「お彼岸」が春分の日(新暦3月20日頃)にあり、この時にお墓参りをします。

日本の上巳の節句(雛祭り)をデザインする際のコンセプトになる要素

行事食:白酒、桃花酒、菱餅、引千切、五目寿司、はまぐりの吸い物、あられ

必要要素:桃の花、菜の花、形代、雛人形、雛道具、貝桶、流し雛

沖縄

沖縄の3月3日(サングァチサンチ)浜下り(はまうり)

日本と同じ3月3日で女性のイベントですが、沖縄では、「浜下り(はまうり)」と言い、「サングァチサンチ」と日付を沖縄方言で呼びます。沖縄の浜下りは、今でも旧暦で行うことがポイントです。それは、潮の干満と関連が深いからです。太陰暦の3月3日は1年の大潮で最も干満の差が大きい日で、干潮時に潮位がマイナスになります。つまり、潮干狩りに最高に良い日になります。水がゆるみ、ティラジャーという貝が採れて、若くて細いもずくが採れる時期です。2024年の新暦では、4月11日(木)でした。

沖縄の「3月3日浜下り」では、全島で共通しているのはよもぎ餅を作り、仏壇へ供え、浜辺に行くこと。女性がお弁当をもって、浜辺へピクニックへ行き、海水で身を清めて、潮干狩りをして楽しむ1日です。ただし、海に近い集落の行事で、車のない時代に内陸に住んでいる人にとっては風習として根付いていません。日本で全国的に見られる磯遊びの風習と似ており、女子の節句であることから、日本から入ってきた可能性が高いと考えられます。安次富順子著『琉球菓子』には、「三月菓子」の解説の中で、”昔は、3月3日は1年中で唯一女性が開放される日”と書かれています。中国「上巳節」との直接的な関わりは、沖縄の年中行事関連の文献からは見ることができません。

「浜下り」に関して書かれた記録

王朝時代の文献の記録を調べると「浜下り」に関してのいくつかの記載があります。

1542年 『はい官雑記』「三月三日士庶(士族庶民)相衆(集まり)し、宴飲す」

1713 年 『琉球国由来記』「よもぎ餅を作り、御内原に献じ進め、かつ桃花を円覚寺に献ずるも礼なり」

1730年 組踊『手水の縁』に、「上下も遊ぶ3月の3日」

1736年『大島筆記』(おおしまひつき)「家々よもぎを餅を調へ相贈る雛遊び薩摩などの通りなり、磯遊びにも出るなり」

1756年 組踊『萬歳敵討』(まんざいてきうち):「浜下り」のシーン有り

3月3日ではない「浜下り」

1756年組踊『萬歳敵討』(まんざいてきうち)の「浜下り」のシーンは、3月3日の行事とは少し意味が違います。家の中に鳥が入ったことを、これから「悪い霊」が家の中を通る知らせとして受けとり、家族みんなで浜へ行って小屋を建て、家の中を「悪い霊」が通り過ぎる間、家が見えない場所の海辺で3日ほど過ごすという内容です。「浜下り」という行為には、「3月3日」の行事で行われるものと、悪い霊の知らせを受け浜で過ごすものの2種類があります。

浜下りの有名な民話「蛇婿入り」

3月3日の浜下りに関する有名な民話が沖縄にあります。「蛇婿入り」のお話です。きれいな娘のもとに、毎晩美少年が通ってきて、娘のお腹に種を宿してしまいます。ある晩、青年が帰る際に後をつけてみると、なんとアカマターという蛇が美少年に化けていることがわかりました。娘は、3月3日に海へ入り、蛇の種を宿した身を清めたというストーリーです。

この「蛇婿入り」の話がどの文献にかかれているのか調べたのですが、どこにも見つかりません。民話に関しては、王朝時代の『球陽外伝 遺老説伝』に書かれていることが多いのですが、この本にはありませんでした。ちなみに、『球陽外伝 遺老説伝』には白蛇が出てくる宮古島の漲水御嶽を舞台にした蛇婿入りの型の別バージョンとも言える「蛇に見入られた娘」の民話はありました。浜下りの民話となっているアカマタの「蛇婿入り」の口伝の録音資料は、沖縄県立博物館のサイトで見つけましたが、起源は書かれていませんでした。「蛇婿入り」の民話を調べていくと日本昔ばなしの典型的パターンです。

浜下りが今も沖縄に残る理由

・もともと沖縄にあった「浜下り」の厄除けの風習

・日本の雛祭り由来の女の子の節句

・3月3日の奇数が重なる日という陰陽説の厄除けの風習

・水のゆるむ季節と大潮の干満差が最大になる自然の摂理

沖縄の場合、3月3日は大潮と関連しているので、太陰暦でなくては意味がありません。

このアカマターの話に関連して、「浜辺の白浜をしっかりと踏みしめる」、額に海水を三回撫でつける「お水撫で」(みずなびぃ)をするなど、厄除けの行動などもあります。

周の時代に始まった中国の上巳節の水辺の禊は、川や海で行うもので、潮干狩りとは関連がありません。当時は、お墓参りというと、遠方のため、船を出していくことも多かったようです。よって、お墓参りと水辺での禊をワンセットにすることが、効率的だったのかもしれません。

日本の上巳の節句は、宮廷、貴族に始まり、雛祭りと発展しましたが、3月3日は磯遊び、山遊びの日としても全国的に行われていました。

沖縄には、日本の磯遊び、山遊びの習慣が入ってきて、その恩恵を最も受け取れる潮干狩りが定着したようです。また、沖縄では、「清明祭」は先祖供養であり、「3月3日浜下り」は、女性解放と大潮の潮干狩り。意味合いが全く違うので、中国のように一緒にすることはできません。海が近いライフスタイルの沖縄には、3月3日の浜下りは豊漁の喜びの習慣でもあるため今も受け継がれているのだと思います。

糸満や座間味などの海人の集落では、浜下りの日に、大漁旗を掲げて船が旋回するイベントもあります。命を繋いでいく上での、大切な習慣であることが伝わってきます。そして、戦後は、沖縄でも日本の雛祭りを受け入れ新暦の3月3日に、雛祭りを祝う家庭も多くなっています。

沖縄の3月3日浜下りをデザインする際のコンセプトになる要素

行事食:色とりどりの華やかな彩り(赤が主役)、沖縄の潮干狩りで採れる海の幸、

一の重:お重菓子(コー菓子(ラクガン)にデコレーション2つ(対角に置く)、紅白落花生、赤寒天、梅模様入りかまぼこ(赤カマボコ)、豚肉のごぼう巻、花イカ、天ぷら(魚)、紅梅卵(ゆで卵)、昆布(なると巻)

二の重:おむすび(赤飯)

三の重:三月菓子(15個)

与の重:よもぎ餅(15個)

関連要素:女の子、女性解放、海・波・塩・よもぎ・白砂(清浄の象徴)、禊、お水撫で、貝・海藻(豊かさの象徴)、ピクニック、春のうららかな光、針・麻糸、3・7・奇数、アカマター(蛇)・石垣の穴、

沖縄の清明祭

沖縄が中国文化の影響を色濃く受けるのは、15世紀~19世紀です。中国文化の伝来という意味では沖縄と日本では1000年近くの開きがあります。日本は7世紀~9世紀に中国文化が入っています。

琉球が中国の冊封国であった頃、中国では「上巳節」の文化が既に衰退し「清明節」を盛大に祝うようになりました。清明際の起源は、18世紀。1768年王家先祖供養行事として玉陵で行われたことが『球陽』に記載されています。沖縄では盛大な「清明祭」が今も行われています。

3月3日上巳節まとめ

中国

  • 上巳節(禊・ピクニック)と寒食節(墓参り)が合体し、「清明節」に。
  • 新暦4月4日頃「清明」の日が国民の祝日で3連休になり、国民の多くがお墓参りへ。
  • 上巳節は「失われた恋人の日」として復活させたい伝統行事の一つ

日本

  • 上巳の節句は「雛祭り」「桃の節句」「女子の節句」で、新暦3月3日の年中行事
  • 雛人形、桃、女子、白酒などは、日本独自の文化
  • 祝日ではないが、飾り付けや行事食は平日でも問題なくできるため、現代でも多くの家庭で行われている
  • 清明のお墓参り文化はない。春分の日のお彼岸でお墓参りをする(仏教)

沖縄

  • 上巳の節句という言葉は使わない
  • 旧暦3月3日に浜下りで潮干狩り&ピクニックをする女子の節句であり、禊の日
  • 祝日ではないため干潮の時間のスケジュール調整が難しく、実際に浜下りに出かける人は少なくなっている
  • 浜下りより、ご先祖のお墓参りである「清明祭」が盛大に行われる

中国では、清明節として3連休となっており、国民がお墓参りで大移動する大きな年中行事。日本では、様々な場所で雛人形のディスプレイが並び、季節を楽しむメジャーな行事となっている。沖縄でも雛祭りのディスプレイや行事食が取り入れられているが盛大ではない。この時期は、「清明祭」の年中行事が圧倒的。祝日ではないが、清明の時期の週末はお墓参りで賑わっている。

「浜下り」を琉英折衷テーブルコーディネートのコンセプトに

沖縄の浜下りをイメージしてテーブルコーディネートをしてみました。

  • スタイル:フォーマル3コース【オードブル・スープ・メイン(肉料理)】
  • 皿:沖縄の伝統工芸品やちむん 沖縄県工芸士 稲福哲雄作 コマカアイランドブルー(玉城焼)
  • テーブルクロス:深海のディープブルー
  • プレイスプレート:漆器(紀州塗り) 沖縄の砂浜をイメージ
  • ナプキン:水鳥の折り方 白で禊・浄化をイメージ
  • キャンドルスタンド:白で禊・浄化をイメージ
  • センターピース:浜下りのお重箱の華やかなイメージでデザイン

伝統文化をコンセプトにしたテーブルコーディネートレッスンの講義内容

2024年4月よりスタートしたロンジェ琉球風水アカデミーの新講座「琉英折衷テーブルしつらえ講座」の第1回講義を4月18日に開催いたしました。東京から日帰りでの飛行機通学の生徒さんがいらっしゃり集落の中にあるロンジェまで無事たどり着けるかドキドキでした。タクシーの運転手さんが、この周辺に詳しい方だったようで、スムーズに到着され、ほっとしました。10時30分〜16時まで、丸一日のレッスンです。

2024年のダイニングテーブルの展示は、フォーマルディナーのセッティング。午前は、「英国式フォーマルディナー」の座学講義を行い、実際のセッティングを見ながらのレクチャー。午後は「中国・日本・沖縄の3月3日上巳の節句」講義を行いました。

テーブルのデザインには「コンセプト設計」が最も重要です。私には、生け花やフラワーアレンジメントのスキルがありませんので、センターピースの花はフラワーデザイナーに依頼しています。花を依頼する際は、コンセプト設計書を丁寧に作成し、テーブルのコンセプトをどれだけ伝えられるかが成功の鍵になります。

主役の食器は、沖縄県工芸士の稲福哲雄さんからお借りしてきました。本当に美しい沖縄の海の青が表現されています。今回のプレイスプレートはアイボリーを選びました。沖縄の白い砂浜のイメージです。浜下りでは、「浄化のためには白砂を踏みしめるのが大事」だと言われているからです。ナプキンの色、キャンドルの色、かなり迷いましたが、白でまとめたら浄化のイメージですっきりまとまりました。浜下りのお重箱は、お祝いの赤やピンクのお料理が中心なので、センターピースのお花もビーチでお重箱を蓋を開けた時のイメージで作成してもらいました。

レクチャーの後はテーブルセッティングを一度片付け、受講生のみなさんにゼロからセッティングしていただきます。

「置くだけなので簡単そうに見えましたがプレートの配置、グラスの配置、カトラリーの配置など、いざ自分でやってみるとどこに置いていいかわかりません。」と、テキストや写真を繰り返し見ながら、置いていかれていました。

ロンジェ琉球風水アカデミーのテーブルしつらえ講座は東洋の年中行事をコンセプトにいれることが大きな特徴です。テーブルに装飾が施されるだけでも豊かになりますが、陰陽五行の哲学をカタチにしていくことの魅力を本講義では楽しんでいただきたいと思っています。

4月のテーブルコーディネートというと、春らしいペールトーンのカラーコーディネートのイメージがわいてくるため、サロンに入ったとたんに、青のクロスを見て不思議に思った受講生の方もいらっしゃいました。しかし、講義で中国、日本、琉球の伝統文化を学び、テーブルデザインの意味がわかった時に、テーブル装飾の意味が理解できたそうです。

「これは、一般的な装飾をメインにしたテーブルコーディネートではないですね。歴史や文化を理解したからこそできるコンセプトの設計で、奥が深くて、面白いです」

「最初に青いクロスを見て、”春なのになぜ?”と不思議に思ったのですが、意味を聞いて納得です。私自身も沖縄で浜下りを体験したことがあって、その時の出来事を思い出しながら先生のお話を聞いていると、イメージがぴったりあいました」などのご感想があがりました。

参考文献

『琉球王朝の料理と食文化』安次富順子 (著)琉球新報社 (2016)

『琉球菓子』 安次富順子 (著) 沖縄タイムス社 (2017)

『沖縄の行事料理』 松本嘉代子 (著)月刊沖縄社(1977)

『沖縄の祭祀と行事料理』 渡口初美 (著)国際料理学院(1982)

『沖縄文化史辞典』 琉球政府文化財保護委員会(監修) 東京堂出版(1972)

『沖縄民俗辞典』 渡邊 欣雄 (編集) 吉川弘文館 (2008)

『沖縄の年中行事 100のナゾ』比嘉朝進 風土記社(1984)

『年中行事図説』柳田國男 岩崎美術社(1975)

『神道大全 神社編52沖縄編』神道大系編纂会 (1982)

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東道里璃【Lily Todo】 株式会社ロンジェ 代表取締役 立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士 著書「琉球風水で叶うナチュラルエレガント 風水空間デザインの教科書」(ガイアブックス刊) 東京世田谷区出身。成蹊大学経済学部卒。財団法人日本道路交通情報センターに入社し、JARTIC道路交通情報キャスターとしてNHKテレビ、J-waveなどに出演。夢を叶え、充実した人生であったが、忙しい生き方に疑問を抱く。「自然が好き」という価値観に素直に生きることを決意し、退職してニュージーランドへ。1年間、スクーバダイビング、スノーボード、トレッキング、アフタヌーンティーの旅に出て、東京の経済優先の価値観が音を立てて崩れる。「豊かさとは一体なんなのか?」を自分に問いかけるきっかけとなる。帰国後、立教大学大学院へ進学。在学中、乗馬の練習中に落馬して骨盤を骨折し2ヶ月入院。うつ病になるも、なんとか修士論文を書き上げ異文化コミュニケーション学修士号取得。卒業後、新築注文住宅の設計で風水との運命の出会い。しかし、設計は失敗。理想の未来を描けない東京の土地を離れ、2011年沖縄の離島へ移住。沖縄が東京から南西方位にあり、引っ越しのタイミングに風水的大吉方位だったので、風水の効果とやらを実験してみたかった。沖縄最初の新居は、築180年の琉球民家。離島の集落で王朝時代の風水集落に出会い、人生の使命を見つけたと確信して琉球風水師に転身。過去の新築住宅設計失敗の理由を徹底分析。2012年、親族も友人も誰も知り合いのいない宜野湾市で、琉球風水スクールを立ち上げる。ブログによる情報発信が新聞編集者の目に留まったことを機に、沖縄タイムス系新聞コラム通算80本以上執筆。有名企業・団体からの依頼でセミナー講師を務め、参加者の数は1000人以上に。新築住宅や商業空間の現場でも風水デザインを監修。2022年『琉球風水でナチュラルエレガント 風水空間デザインの教科書』出版。現在、聖地の点在する南城市の風水集落に住み、オンライン&対面のハイブリッド型のスクール、ロンジェ琉球風水アカデミー運営。少人数制の個別対応で、受講生に寄り添い、ひとりひとりの価値観にあった土地選び、家選び、室内装飾、生き方を一緒に考えている。県内の大学でも非常勤講師を務める。 「生き方に迷ったら、リセットボタンを押してみよ。人生はゲームさ。何度でもリスタートできるよ」 特典付きニュースレター「琉球風水インテリア通信」配信中 https://longe.jp/newsletter/