境界を越える:空間原理のフィールドワークへ
安座真港からフェリーに乗り、久高島へと至る海路。
それは単なる移動ではなく、琉球の空間構造を理解する上で、日常から「聖域(SANCTUARY)」へと意識を切り替える重要なプロセスです。

昨日、私はこの神の島で久高島区長認定ガイドとしての認定証を拝受しました。

しかしながら、久高島には、代々島を守り、祭祀を司ってきた家系の皆様がいらっしゃいます。彼らが語る口伝や血筋の重みには、私のような外部の人間は到底及ぶものではありません。私は琉球風水思想の研究者、そして、琉球風水空間デザイン®実務家として、別の視座からこの島に貢献したいと考えています。
昨日、拝受した久高島区長認定ガイドとしての証は、私にとって、島の歴史文化を「空間原理」という普遍的な言葉で翻訳し、伝えるための「お役目」の証です。久高島歴史文化研究会での学ばせていただいたことを、これからは久高島の歴史と文化を次世代につなぐことにお役に立てるよう、還元していきたいと思います。

なぜこの島が「聖域」として成立し、今もなお人々の安寧を守り続けているのか。
その構造を冷静に、かつ丁寧に紐解いていきたいとおもっております。
カベール岬の静寂
まずは、琉球開闢の神アマミキヨが降り立った地、カベール岬へと続く一本の並木道を歩みます。ここは天からの氣が降り注ぐ、久高島の北の軸。

聖なる木「クバ」の並木道を抜けると、カベール岬にたどり着きます。
五穀神話の舞台:イシキ浜からハタスへ
そして、舞台は島の東、イシキ浜へと移ります。ニライカナイ(海の彼方の理想郷)に最も近い場所で、琉球王朝時代、琉球国王は自らここへ訪れ、ニライカナイへ霊威(セジ)を乞いました。ここは、ニライカナイから五穀の種が入った『白い壺』が流れ着いた場所であり、五穀神話の起点です。

五穀の入った白い壺を見つけたのは、白樽とファーガナシーの夫妻です。夫の白樽が壺を受け取ろうとしても受け取ることができませんでした。妻、ファーガナシーは、ヤグルガーへと向かい聖水で禊をして白装束に着替え、身を清めてイシキ浜へ戻ると、無事、その壺を手に取ることができました。


そして、受け取った聖なる種が初めて植えられたのが、ハタスです。

拝所の香炉の先に、五穀の種が入った白い壺が埋められていると伝えられています。この拝所は、琉球王国の最高神女、聞得大君が祈りを捧げたと言われる場所です。
麦の初穂の実りに感謝の祈りを捧げる「正月マティ」を控え、ハタスにはグリーンの麦の初穂が実っていました。今も、ハタスを護る方たちの手により、丁寧に麦が植えられています。

祭祀の中心地、腰当の森(クサティムイ)の御嶽「御殿庭(うどんみゃー)」
巡礼の終着点は、島の祭祀の中心である御殿庭。国王・聞得大君が祈りを捧げたこの場所は、空間そのものが一つの大きな祈りの形式として調律されています。

この場所は、集落の「根元」となる腰当の森(クサティムイ)の御嶽。18〜19世紀の琉球王朝では、腰当の森の御嶽を風水思想の四神相応の玄武に当てはめ、風水集落が造られた歴史があります。東の彼方を「太陽の根元」として信仰したニライカナイ信仰。その「根元思想」が、集落造営の思想の根底にあることを久高島で体感することができました。
学問と信仰の統合
神話の足跡を辿り、感謝の祈りを捧げ、その空間原理を読み解いていく。来週は、ロンジェ®琉球風水アカデミーの受講生の皆さまと共にこの風を感じ、理論を体感へと変える時間を心から楽しみにしています。
東道里璃による”久高島ガイド”のご案内
東道里璃の久高島ガイドは、月に一組様限定、一ヶ月前までの完全予約制にて承っております。思想、信仰に興味の有る方、及び、学術的な考え方から久高島について知りたいという方を対象に、琉球風水思想、ニライカナイ信仰の空間原理に関する研究と実務の知見を分かち合う「特別なフィールドワーク」のみをお引き受けしております。
島内を広く網羅する標準的なコースや、直近のご案内を希望される方は、専業ガイドの1号会員の皆様が直接受付をされている「久高島ガイド友の会 公式サイト」よりお問い合わせください。
なお、私は「久高島ガイド友の会」の2号会員として活動しております。
「久高島ガイド友の会」の1号会員とはガイド業務を専業した皆様で、2号会員とは、ガイド業務を専業としておらず、他に本業を持つ者が担う立場です。上記、久高島友の会公式サイトの常設名簿に名前があるのは1号会員の皆様で、私は琉球風水の学術的研究と空間デザインの実務を本業としているため、公式サイトには名前を連ねておりません。
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東道里璃 (とうどう りり)
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