ロンジェ琉球風水アカデミー、学長の東道里璃です。

家づくりで一番はじめに訪れる難関は、土地選びですよね。「縁起の良い土地を選んで新築したい」「風水師に見て欲しい」と思ったことのある方も多いと思います。その土地の風水が「良いのか」「悪いのか」氣になりますよね。しかし、不安なお気持ちはわかりますが、土地の風水鑑定とは、「良い」「悪い」のどちらかの答えを、即答するものではありません。

風水師が土地の診断で果たす役割は、その土地の風水について、長所と短所を、ロジカルに包み隠さず説明すること。長所と短所を理解した上で、その土地をどうつきあっていくのか、意思決定をするのは施主様のお仕事です。

100%風水の良い土地など存在しません。長所と短所が必ずあります。人と土地との関係は、結婚や、子育てと似ています。

結婚相手の長所だけでなく、短所までひっくるめて、丸ごと愛せるかどうか。

平均的な「いい子」に育てようとするのではなく、長所を伸ばす、または、一見短所に見える部分を長所に転化して、個性を輝かせることができるかどうか。

そういうマインドで、是非、土地を見ていただければと思います。では、風水師が、一体どのような視点で、土地の風水診断を行っているのか、お話したいと思います。

琉球風水師の土地調査 9つのチェックポイント

  1. 土地の歴史
  2. 土地の形
  3. バードビューでみる土地の氣の流れ
  4. 現地で体感する土地を取り巻く自然の氣の流れ
  5. 現地で体感する土地と周辺環境の人工的な氣の流れ
  6. 磁場
  7. ゴールデンゾーンの確認
  8. 建物の向きと配置のイメージ
  9. 施主様が建てたい建築の方向性と、土地との相性

それぞれのポイントについて、全てのことはお伝えできませんが、一般の方にも判断できることを、説明していきたいと思います。

1.土地の歴史

以前、その土地がどのように使われていたかどうかを、確認します。不動産屋さん、地元の人などが情報源です。

◆買ってはいけない土地

  • お墓の跡地
  • 病院の跡地
  • 沼地や川だった場所
  • 高圧線直下
  • 御嶽(うたき)の跡地【沖縄】
  • 根屋の跡地【沖縄】

お墓の跡地は、結構売り出されています。新築の建売住宅やマンションが建っているケースもあるようです。

御嶽とは、沖縄県外の方はわからない方も多いと思いますが、その集落の御先祖様を祀った土地です。沖縄でも都心部では、御嶽があったことが全くわからない状態で売りに出されているようです。立地的には、一等地でありながら、なぜか建物が建つことなく駐車場になっているケースを、いくつか見たこと、聞いたことがあります。

2.土地の形

きれいな四角形の土地が、氣が安定して、最も理想的な土地です。

わかりやす判断としては、三角形の土地、いびつな形の土地は、購入を踏みとどまったほうが安全なケースが多いです。三角形の土地は損失を表し、財が漏れていく形と言われています。いびつな形の土地も、土地の有効活用がしにくいです。

土地が広く、形の悪い部分は建物を建てずに、植栽などで補えるようでしたら、問題ないケースもあります。判断基準としては、建物がきれいな形で建てられるかどうか。鋭角や斜めのライン、張り欠けがたくさん出てくるような形にしか住宅が設計できない場合は、別の土地を探されたほうが良いケースが多いでしょう。

3.バードビューでみる土地の氣の流れ

現地調査にいく前に、必ずグーグルアースを使って、バードビューで土地を見ています。山、川、海に対して、その土地が、どのような配置になっているか。その街、その集落の中で、どのような位置付けの場所なのかをチェックします。

グーグルアースで、あらかじめてリサーチしていても、現地に行くと、ネット上では手に入らない情報が、たくさん出てきます。大地が慣性の法則にしたがって、どう動こうとしているのか。土地の傾斜の角度がどの程度か、大地との対話で、氣の流れを読み取っていきます。

例えば、よく別荘地では、傾斜地に下駄履きさせるような形で家を建てることがあります。傾斜地は、大地が下に動こうとするエネルギーが働いている場所。これからあなたの人生の土台となる場所が、どのようなエネルギーであるかを読み取ることができます。

「良い」「悪い」という判断をする以前に、その状態を見て、どう思うのか。自分の心の状態を観察してください。土地の判断で、最も重要な要素となるのは、あなたが土地と出会った時の「感覚」や「感情」です。

不安なものを見ていれば、人は心は不安になります。安定したものを見ていれば、人の心も安定します。

その土地を見て、毎日、どんな気持ちになるのかを、ご自身に問いかけてみてください。

4.現地で体感する土地を取り巻く自然の氣の流れ

その土地の上に立った時の、光、風、水の流れを見ていきます。これは、現地でしか確認できず、現地に行く前の予想と、全く違ったということが多々あります。住宅を建築する上で、琉球風水が最も重視しているのが、光と風の流れです。

敷地の中で、「ここに立って、こっちを向くと、とても心地よい」というポイントを見つけます。そこは、光と風の抜ける場所です。私はこのポイントを「ゴールデンゾーン」と読んでいます。ゴールでゾーンについては、この後詳しく解説します。

残念ながら、ゴールデンゾーンが存在しない敷地もあります。そういった敷地は、購入しない方が良いという判断になります。

5.現地で体感する土地と周辺環境の人工的な氣の流れ

土地周辺の道路状況や、建物の配置、高さ、種類などを調査します。

道路は、自然界に例えると「川」です。隣接する川の「太さ」と「水量」により、適した建築の種類や、敷地の使い方に影響が出ていきます。

国道などの交通量の多い道路沿いの土地は、大型の商業施設とは相性がよくても、一般住宅が向かないケースが多くあります。車の流れは、川の水の流れそのものですので、流れの強い大河の真横にいるのと、少し奥まったところや、小さな川のほとりで過ごす時の、心の状態をイメージしてみてください。

以前、「ここに家を建てようと思っているが、この土地には建てるのは何かが違うと感じている。」というご相談があり、見に行ったことがあります。図面が出来上がっていたのですが、どうも住み心地の良さそうな間取りには見えません。現地に行ってみると、大変眺めは良いのですが、前面道路の交通量が多く、周辺にはほとんど建物がありません。国道から国道へ抜ける通勤の裏道でよく使われる道路とのことでした。どこに出かけるにも車に乗らないといけないのは当然のこと、さらに、いつも渋滞している道路を通過しなければ、買い物にもいけないという状況でした。車の騒音も気になります。

そして、これは、沖縄ではとてもよくあるパターンなのですが、敷地の奥側に、海や山などの美しい眺めがある立地でした。これは、リゾートホテルやマンションなども、このような条件で作られていることが多いです。通常の住宅は、住宅の正面に玄関がくるのですが、このような土地は、住宅の正面に対して、背後に玄関がきます。間取りの設計も複雑になるので、設計プランの作成が難航する典型的な例でもありました。これに関しては、あとで、「建物の向きと配置のイメージ」のところで、さらに詳しく解説します。

このような環境条件ですと、交通量が多く、ビューも素晴らしかったので、商業施設にはおすすめですが、一般住宅には向かないというお話をしましたら、「『なんとなく違うのでは?』と、感覚的にはそう思っていたのですが、根拠のある理由がわかったので安心しました。」とおっしゃられていました。

また、川の流れる形の、どこに位置する土地かで、安全か危険かが決まります。カーブの内側であれば吉ですが、カーブの外側はハンドルを切りそこなった車が突っ込んでくる可能性があり、いつも殺気にさらされるため、安心して住むことができません。これは、地図で確認すれば、誰でも簡単に判断できます。

ただ、実際には、現地に行ってみないと、わからないこともあります。カーブの内側でも交通量が多ければ危険な場合もありますし、商業施設であれば、カーブの外側にあっても、たっぷり車が入る駐車場を配置することで、逆に、車が自然に入りたくなる動線をつくることができます。

土地の風水判断は、使い方によって、決まります。

風水の教科書では、「吉」と言われている土地も、使い方によっては「凶」になったり、逆に、「凶」と書かれている土地を「吉」に転化できることもあります。この判断には経験が必要です。

6.磁場

磁場の狂っている土地は、絶対に買わないように。そこで毎日を暮らすと、集中力が出ない、イライラする、眠れないなどの生活ストレスに襲われます。

風水師でなくても、土地を見に行く時は、方位磁石を持っていきましょう。予めグーグルアースなどで、大まかでも土地の方位を把握しておくと安心です。

敷地の様々な場所に立ち、磁石の示す方位が正確で安定しているようでしたら、ひとまず安心です。正確な方位を示さない場所が多い。自分が静止していても、磁石の揺れが止まらない。特に、磁石が勝手に回転している場合は、磁場が完全に狂っています。

「ひとまず安心」といった意味は、土地が安心でも、鉄筋の入った建物では、柱や梁の鉄筋で磁場が狂います。眠る空間や、座る空間の梁や柱は注意が必要です。家具のレイアウトを設計しつつ基本設計を進めることが重要なのは、快適な暮らしを見据えて上での設計をするためです。

7.ゴールデンゾーンの確認

「3.土地を取り巻く自然の氣の流れ」のところでも少し触れましたが、敷地の中で、「ここに立って、こっちを向くと、とても心地よい」というポイントを見つけます。そこは、光と風の抜ける場所です。さらに、周辺環境の変化まで予測します。周辺に空き地があって、建物が立つ可能性があるのであれば、そこも見据えて、何年経ってもゴールでゾーンであり続ける場所を見極めます。

土地の診断には、ゴールデンゾーンがあるかないか。そして、ゴールデンゾーンから、建築プランを無理なく展開できるかどうかがキーになります。

現地調査に行って困ったことがあります。事情があって、敷地内の調査ができず、ゴールデンゾーンを探せない時がありました。グーグルアースである程度予測はしていたのですが、現地の状況は、イメージとはだいぶ違い、グーグルアースで予測していたゴールデンゾーンとは、別の場所になりそうでした。ゴールデンゾーンの見極めができないと、間取りのゾーニングのプランが一気に難しくなることを経験しました。基準となる場所が定まらないので、プランが迷走していきます。

以前、「何回も図面を描いてもらったけど、納得するプランができあがらない」といって、ご相談に来られた方の図面を見てみると、その土地の性質を全く考えていないことがわかるような図面でした。ゴールデンゾーンは、もっとも心地よい場所なので、LDを配置するケースが多いのですが、LDの配置が「なぜここに?」というような場所になっていると、もちろん、全体的なゾーニングに影響が出てきます。

感覚ではなく、氣の流れから設計するためのセオリーにしたがってプランを作成していくので、琉球風水の設計には、心地よい氣の流れのラインを描くための再現性の高さがあります。琉球風水のプランニングをする上で、ゴールデンゾーンは、とっても重要な場所なんです。

8.建物の向きと配置のイメージ

土地の風水診断を行う時には、建物の配置とゾーニングのイメージまで作ってから、施主様に解説をしています。

敷地の図面に羅盤を当てて、北側の敷地、南側の敷地を明確にします。ゴールデンゾーンと、太陽光の入り方、前面道路からの駐車場の位置、玄関の位置のバランスを見て、その敷地に対して、住宅をどんな形で、どちらに向けて、どのように配置し、パブリック空間とプライベート空間をどのようにゾーニングするか、その方向性を出します。ここまですると、良い住宅が建てられる敷地かどうかが判断できます。

9.施主様が建てたい建築の方向性と土地の相性

周辺環境より、商業施設に適した土地や、一般住宅向きの土地があるお話はすでにお話しましたが、さらに、ご要望の間取りや暮らし方と、土地の相性が、「合う」「合わない」ということもあります。

土地の風水診断は、この先に建てる建物の大きさや形、ゾーニングまでイメージした上で、行っています。そのためには、その土地に建てたい建築のご要望も十分に聞き取った上でないと、イメージができません。土地を見に行く前の打ち合わせや、ヒアリングなどが、土地の診断を成功させるための大きな決め手にもなります。

商業施設か、一般住宅かという判断の他、

  • 平家にしたい
  • 二階建てにしたい
  • 家の大きさ、部屋数は、最低限これだけ欲しい
  • 限られたサイズと予算の範囲内でできることができれば良い

など、ご要望、そして、優先順位は様々です。ご要望を満たすには、敷地が小さすぎる、大きすぎる、形が合わないなどのケースが出てくるので、理由を解説した上で、購入するか、しないかを、ご検討いただいてます。

土地の風水診断は、このようにして行っていきます。

ロンジェ®️の土地の風水診断方法

現地では、「良い」「悪い」の診断は行いません。9つのポイントを入念にチェックした後に、ヒアリング内容、文献調査の結果から、その土地のメリット、デメリットを言語化してレポートにまとめ、現地調査の翌日に、風水診断レポートの内容を解説しています。

長所を徹底的に伸ばした首里城の風水

首里城の風水が記録されている、琉球の歴史書「球陽」の中で、「首里城は、狭くて傾いた土地の上にあり、決して良い立地とは言えない」と書かれています。一見すると、立地条件はよくない。あなたも、土地を見に行った時、狭くて、傾いた土地を買いたいとは思わないですよね?

しかし、風水の知識をもちあわせた「神眼」で見ると、「首里城の立地条件は王城の風水にふさわしい、素晴らしい土地である。」と書かれています。欠点もあるが、それ以上に輝いている長所の素晴らしさに気付き、その長所を伸ばして、より良い風水にするために、人が努力をして、美しい風水景観を作り上げていました。

土地と建物には、相性があります。「良い」「悪い」で判断しようとせずに、様々な角度から検証し、その土地が、建物の使い方に合っているかどうかを、丁寧に検証してみてください。

ご自身で初めて土地を見る時の手順

午前、午後、夜の3回見に行くことをお勧めします。

1. 新しい土地に入る際は、必ず土地の神様にご挨拶をしましょう
2. 土地に立ち、ご自身の感覚、感情を観察してください。
3. 駐車場の候補地から、車の出入りの安全確認を行ってください。
4. どんな風景を見て暮らすのか、イメージしてください。
5. 方位磁石で、磁石が回転したり、方位が定まらないなど、磁場の狂いがないか見てみましょう。

家づくりの成功は、土地選びから始まっている

私が風水師としてできるのは、地表面での風水診断です。この他、建築の法規制に関わる部分などは建築士の領域ですし、地面の下については、地盤調査をしないとわかりません。家づくりという大きなプロジェクトを成功させるためには、家づくりの専門家になる必要はありませんが、各方面の専門家と話ができるようレベルの知識を、施主様がもっていることも大切です。

土地の診断は、建築設計より時間も手間もかからないかもしれませんが、家づくりという、数千万円から数億円のプロジェクトの入り口で、とても重要な意思決定です。

今回、ブログに書いた内容は、土地の風水判断のほんの一部です。ここで書いてあることも、現地の状況やお客様のご要望によって、吉と凶の判断が変わることもありますので、ご了承の上、記事をお役立ていただければと思います。

なお、ロンジェ®️では、これから新築される方に向けた、「ロンジェ®️新築住宅設計トータルコンサルティング」のサービスの一部として、土地の風水診断をお手伝いしております。誠に申し訳ないのですが、土地の風水診断のみのご相談は承っておりません。

ロンジェ®️の新築住宅設計トータルコンサルティングのサービスに興味のある方は、まずは、こちらの記事をお読みください。

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東道里璃【Lily Todo】 株式会社ロンジェ 代表取締役 立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士 著書「琉球風水で叶うナチュラルエレガント 風水空間デザインの教科書」(ガイアブックス刊) 東京世田谷区出身。成蹊大学経済学部卒。財団法人日本道路交通情報センターに入社し、JARTIC道路交通情報キャスターとしてNHKテレビ、J-waveなどに出演。夢を叶え、充実した人生であったが、忙しい生き方に疑問を抱く。「自然が好き」という価値観に素直に生きることを決意し、退職してニュージーランドへ。1年間、スクーバダイビング、スノーボード、トレッキング、アフタヌーンティーの旅に出て、東京の経済優先の価値観が音を立てて崩れる。「豊かさとは一体なんなのか?」を自分に問いかけるきっかけとなる。帰国後、立教大学大学院へ進学。在学中、乗馬の練習中に落馬して骨盤を骨折し2ヶ月入院。うつ病になるも、なんとか修士論文を書き上げ異文化コミュニケーション学修士号取得。卒業後、新築注文住宅の設計で風水との運命の出会い。しかし、設計は失敗。理想の未来を描けない東京の土地を離れ、2011年沖縄の離島へ移住。沖縄が東京から南西方位にあり、引っ越しのタイミングに風水的大吉方位だったので、風水の効果とやらを実験してみたかった。沖縄最初の新居は、築180年の琉球民家。離島の集落で王朝時代の風水集落に出会い、人生の使命を見つけたと確信して琉球風水師に転身。過去の新築住宅設計失敗の理由を徹底分析。2012年、親族も友人も誰も知り合いのいない宜野湾市で、琉球風水スクールを立ち上げる。ブログによる情報発信が新聞編集者の目に留まったことを機に、沖縄タイムス系新聞コラム通算80本以上執筆。有名企業・団体からの依頼でセミナー講師を務め、参加者の数は1000人以上に。新築住宅や商業空間の現場でも風水デザインを監修。2022年『琉球風水でナチュラルエレガント 風水空間デザインの教科書』出版。現在、聖地の点在する南城市の風水集落に住み、オンライン&対面のハイブリッド型のスクール、ロンジェ琉球風水アカデミー運営。少人数制の個別対応で、受講生に寄り添い、ひとりひとりの価値観にあった土地選び、家選び、室内装飾、生き方を一緒に考えている。県内の大学でも非常勤講師を務める。 「生き方に迷ったら、リセットボタンを押してみよ。人生はゲームさ。何度でもリスタートできるよ」 特典付きニュースレター「琉球風水インテリア通信」配信中 https://longe.jp/newsletter/