ロンジェ®︎琉球風水アカデミー学長の東道里璃です。
ロンジェ琉球風水アカデミー4月の活動を、マンスリーレポートとして報告いたします。
風水空間デザイン®︎講座第3回の講義の内容や、受講生の実践や相談に対する私からのフィードバックなどを、一部抜粋して報告いたします。
このレポートを読んでいただくと、住まいの快適さを高め、「なんとなく心地が悪い」原因と改善策がわかる方法、理想の家・部屋を手に入れるコンセプト設計のヒントがわかります。
住まいも人生もより美しく、心地よく充実させる学びと実践法として、風水空間デザイン®︎をお役立てください。
心地良さを生み出す間取りの考え方 4月の全体講義の内容を紹介
今月は、風水空間デザイン®︎講座2級、3級の第3回、「琉球民家の風水」と「陰陽鑑定」について、オンラインで講義を行いました。
沖縄の伝統的な琉球民家は、琉球風水の考え方に基づいて建てられています。四神相応の「抱護」の考え方に基づいたその造りは、とても機能的。光と風が調和する心地よい暮らしを実現するさまざまな知恵と工夫が詰まっていて、現代の家づくりに応用することができます。
暮らし心地を高める琉球民家の大きな特徴は、次の三つです。
まず一つ目は、全戸南向きの都市計画です。
琉球王朝時代は、集落の設計にも風水が取り入れられていました。集落全体が北側にある山を背にして、南側を向くことを基本としています。そのため、どの家も当たり前に、太陽光と夏の涼風に恵まれた南向きの良い立地で建てることができました。
二つ目は、樹木が屋敷を抱き護っていることです。
住宅を取り囲むように植えられたフクギは、自然と調和した美しい景観をつくり出すだけでなく、大風の強い風や火災から住宅を護る抱護林としての役割を担っています。日差しを程よく遮って木陰をもたらし、風は、樹木や葉の間をすり抜けることで気化熱によって温度が低下。涼やかな風が住宅へ流れ込む役割もにもなっています。
三つ目は、機能的なゾーニングです。
琉球民家の間取り配置は、人が集まるパブリック空間と、家族が静かに個人で過ごすプライベート空間が、実用的かつ機能的に分けられています。
琉球民家のパブリック空間は住宅の南側、日光に恵まれ、明るく、にぎやかで活動的な南側に配置されています。一方、プライベート空間は住宅の裏手、日当たりが穏やかで、落ち着いて静かに過ごせる北側にあります。太陽の光や季節によって変わる風向きなどが、暮らしにどのような影響を与えるかも考慮した間取りになっています。
琉球民家の間取り配置は動線も機能的で、家族も来客も快適に過ごせる仕組みになっています。
琉球民家には、正面から入ってくる邪気や強風から住まいを守るため、門と母屋の間に高さ1m強の目隠し壁「ヒンプン」が設けられています。そのヒンプンから左右に流れる動線を利用して、琉球民家は、公私の空間を区分けしています。
ヒンプンから向かって右側は来客(パブリック)空間への動線で、男性とお客様が出入りしました。母屋の前面であるパブリック空間は表座(おもてざ)と呼ばれ、東側=イラスト右側=から客間(一番座)や仏間(二番座)になっています。
一方、ヒンプンから向かって左側は、家族(プライベート)空間への動線で、女性や子どもたちが出入り。プライベート空間には井戸やかまど、トイレなどがあり、寝室として使っていた母屋奥にある裏座(うらざ)へも、スムーズに出入りできます。
現代と昔とではライフスタイルや考え方は違いますが、来客のもてなしとプライバシーに配慮された間取り配置は、住んでいて「心地よい」と感じる土台になります。中古住宅や新築の建売住宅、マンション、賃貸住宅などを選ぶ時は、公私の空間がどのように分かれているかを確認してください。それが、住み心地のいい家を手に入れる重要なポイントです。
風水空間デザインの一番の大きな特徴は、どの空間で、どんな感情になりたいかを軸に設計プランを考えていくこと。その土台となる分析手法が、陰陽鑑定です。
陰陽鑑定を行う目的は二つあります。「方位と空間の位置関係を確認する」ことと、「得たい感情が得られる空間にするための方向性を出す」ためです。
得たい感情は、空間を使う目的や時間帯によって異なります。例えば、寝室を使う目的と得たい感情なら、「落ち着いた気持ちで、静かにぐっすり眠りたい」。この得たい感情をゴールとして、自然の光、水、風をどう調和させるかを、鑑定結果から導き出します。
住環境の陰陽には、「暮らし」「建築」「インテリア」の3種類があります。
感情の陰陽に目を向けると、「元気になりたい」「チャレンジしたい」「心を奮い立たせたい」空間は、陽の氣を多く必要とします。「癒されたい」「落ち着きたい」「静かに過ごしたい」空間は、陰性の氣が多く必要です。陰陽のバランスが調うと、空間の心地良さは格段に変わります。
陰と陽は相対する性質を持っていますが、陽が良くて陰が悪いというわけではありません。暮らしの陰陽では、それぞれ質の良し悪し、ポジティブな面とネガティブな面を持ち合わせています。
方位と空間も陰陽で分類できます。太陽がたっぷり当たる南東・南・南西は「陽」の方位で、光が穏やかな北西・北・北東は「陰」の方位です。空間では、玄関やリビング・ダイニングなどのパブリック空間は「陽」、寝室や書斎、水廻りなどのプライベート空間は「陰」の性質があります。
明るく活気のあるエネルギーを必要とするパブリック空間は、陽の方位と相性が良く、人の活動が静かで、心穏やかに過ごしたいプライベート空間は、陰の方位と相性が良いです。陽の氣を必要とするパブリック空間は、陽7:陰3くらいを目安にインテリアをデザインします。プライベート空間は陰5:陽5が目安です。
質の高い陰の氣は、住宅の心地よさを高めるマストアイテムです。質の高い陰の氣を意図的に取り入れていくことで、心と身体のウェルネスを高めることができます。
講義ではサンプル図面を使い、陰陽鑑定図面の作成体験も行いました。受講生の感想はこちらです。
「これまで、建築の仕事をしてきましたが、設計プランを考えるとき、氣のクオリティーや得たい感情なんて考えたことがなかった。空間づくりは感情が主役というのが、とても印象的でした」
「方位の相性は完璧でも、光や風の調和をどうとるか。インテリアの陰陽をどう調和させるかに、プランを考える人の個性が出ると感じた。陰陽の分類が分かると、たとえ方位の相性が悪くても、ほかの要素から良い面や改善案を伝えることができるのが素晴らしい」
陰陽の性質は、私の著書「風水空間デザインの教科書」p16-17に詳しく掲載しております。書籍をお持ちの方はご活用ください。
受講生の実践課題より〜コンセプト設計
サロンとして借りているお部屋のインテリアのコンセプトを考えるため、「ドリームハウス実現シート」を記入しました。理想のお部屋のイメージ写真は、おしゃれ過ぎるかな?とも思いましたが、素敵な空間が見つかりました。
主役になる家具は、スクールで講義をしたり、施術したりと、自分が仕事をしている理想のイメージを描き、「こんなのがあったらかわいいな」という基準で写真を集めてみました。クラシカルな雰囲気の家具が好きなことがわかりました。でも、色が好きで選んだもの、部分的なデザインが好きで選んだもの、いろんな視点が入り混じっていて、最も理想とするインテリアスタイルは何なのかということについては、まだうまくつかめていない感じです。
◇ ◇ ◇
学長 東道里璃からのフィードバック
コンセプト設計を通して、理想のインテリアが少しずつ固まってきたようで、ワクワクされていらっしゃいますね。理想のお部屋、家具のイメージを設定するのは、インテリアを設計する上で、最も難しい部分だと思います。家具選びでは、椅子や机など、家具の脚のデザインが重要な鍵を握っています。意識して、脚の形を観察してみてください。そのお部屋に対してどんな感情を得たいのか。そこをコンセプトの軸にして、改めてイメージを固めてみてください。
今回、私自身が築50年の中古住宅をリノベーションして住むにあたり、拙著「風水空間デザインの教科書」で紹介している手順通りにプランニングを行いました。その結果、改めて、書籍に書いたインテリア設計の方法は、再現性が高いことが実証できました。
インテリアのデザイン的な方向性は、テキストp125「理想のインテリアを言語化する3ステップ」に沿って行います。インテリアを構成する要素は10種類。まずは主役となる①家具、②建具、③設備。次に、主役を引き立てる④床、⑤壁、⑥天井、⑦照明。そして空間をドレスアップするための⑧カーテン、⑨アクセント、⑩デコレーションです。
美しいトータルコーディネートを実現するには、家具のスタイルを設定し、その世界観からブレないことが大切です。
主役となる絵画などのデコレーションが最初から決まっていた部屋では、①家具、②建具を決めた後に、⑩デコレーションとなる絵画のフレームを家具と合わせてデザインを確定し、そこから壁紙やカーテンのイメージを固めていきました。絵画の場合、配色やトーンなど色が入っているので、周りの壁紙やカーテンが脇役となって絵を引き立てるようにデザインしていくと、スムーズにプランができました。
人が集まる場所やフォーカルポイントに、眺めていたくなるようなもの、幸せな気持ちになるものを飾る。日常的に眺めることで、ご自身の思い、なりたい理想をインストールしてくれる絵などがあれば、潜在意識に働きかけることができます。
ディスプレイスペースの壁には、鏡や絵を飾ります。ただし、鏡は使い方に注意してください。鏡が適している空間は、玄関、ダイニング、リビング、トイレです。玄関の鏡は、外から入ってきた氣を増幅させる効果があり、ダイニングの食べ物を映し出す鏡は、豊かな氣を増幅させてます。リビングやトイレの鏡は、空間を広く見せてくれます。
一方、鏡が適さない部屋もあります。それは、寝室です。鏡は使い方が重要なので、どこで、何を映し出しているかに意識を向けてください。各部屋の鏡の使い方は、拙著の中でもさらに詳しくお話しています。
絵や鏡は、フレームの色やデザインをインテリア全体の雰囲気を合わせてあげるのがポイントです。額縁まですべて、家具のスタイルに合わせると本当に美しいです。
わが家はディスプレイスペースを4か所に設けたのですが、参考までにその1か所をご紹介しますね。ご自身の理想を体現するプランニングを、楽しまれてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
東道里璃 (とうどう りり)
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