琉球風水の研究者、東道里璃です。

沖縄国際大学経済学部地域環境政策学科で、「グローカルセミナー」を担当しています。

机の上には、16世紀の冊封使による琉球王国の記録、首里城に関する文献、風水思想の専門書、そして異文化コミュニケーションの理論書──。大学での授業準備のひとときには、こうした異なる領域の資料と静かに向き合う時間があります。

「グローカルセミナー」講義は、ひとつの分野にとどまるものではありません。琉球の歴史文化と現代社会をつなぐ鍵は、「領域横断的な視点」にあると感じています。風水・歴史・文化・コミュニケーション──それぞれの知見が交差することで、より深く、より多角的に世界を捉える視点が育まれると信じています。領域横断的アプローチというのは、異文化コミュニケーション学の特徴でもあります。

この記事では、異文化コミュニケーション学の入門書である『はじめて学ぶ異文化コミュニケーション — 多文化共生と平和構築に向けて』と『異文化コミュニケーション・キーワード』を元に、文化とは何か、アイデンティティとは何か、そして東洋と西洋の世界観の違いなどの基本をまとめました。また、”価値観”と”アイデンティティ”については、私の専門領域である東洋哲学の考え方と融合して、お伝えします。

異文化コミュニケーション学入門

1. 文化とは何か

文化とは、”集団の成員によって、長年の間に蓄積された生活様式”です。「高等文化」と「一般文化」に分けられます。高等文化は、芸術、思想、科学などで一般的な「文化」のイメージとなっているもの。一般文化は、日常の生活様式です。異文化コミュニケーション学で扱うのは、主に一般文化です。

文化の三層構造──精神文化・行動文化・物質文化

文化には3つの局面があります。それぞれが独立したものではなく、相互に作用し合っています。何かしらの理由で1局面が影響をうければ、他も必然的に影響を受けます。

  • 精神文化(潜在的):認知的活動(価値観、思考習慣、記憶、信仰、哲学)、情緒的活動(五感の刺激・感情・興味関心)
  • 行動文化(潜在的・表層的):言語行動(読む・書く・聞く・話す)、非言語行動(表情・しぐさ)
  • 物質文化(表層的):衣食住、建築、道具

文化は大きく「精神文化」「行動文化」「物質文化」の三層に分けて理解することができます。

最も深い層にあるのが「精神文化」です。これは内面的で、潜在的、そして多くの場合、無意識のうちに私たちの価値観や信念、世界観に影響を与えています。

その上に位置するのが「行動文化」です。行動そのものは外から観察できるため表層的に見えますが、「なぜその行動を取るのか」といった背景には、精神文化に基づく深い意味づけが存在しています。つまり、行動文化は表層と深層の両側面を持っているのです。

最も外側にあるのが「物質文化」です。衣食住や建築物、道具など、目に見える文化要素です。しかし、これらの物質も単なるモノではなく、文化的な意味や象徴性を帯びています。

たとえば、日本人にとっての「米」は、単なる主食ではありません。祭礼や年中行事、日々の生活を通して、「米」には精神文化や行動文化との深いつながりが宿っています。

「文化は氷山」──目に見えるのはほんの一部

文化はよく氷山にたとえられます。海の上にわずかに現れるのが、衣食住や習慣などの「物質文化」や「行動文化」。私たちが他者の文化を見たとき、まず目にするのはこの表層部分です。

しかし、その見えている部分の奥底には、はるかに大きな“見えない世界”が広がっています。そこにあるのが「精神文化」──価値観や信念、世界の捉え方といった深層の文化です。

この精神文化こそが、人々の行動や物の使い方に深く影響を与えているのです。つまり、目に見える文化は、目に見えない文化に支えられている氷山の一角にすぎないのです。

🔍 文化は氷山に例えられる:表層的に見える物質文化、行動文化の下には、目には見えない深層部分の価値観が影響している。目に見えるのはほんの一部。


2. 異文化コミュニケーションとは

異文化コミュニケーションとは、”異なる文化的背景をもつ人々のあいだで行われるコミュニケーション”です。一般には「外国人とのやりとり」や「国籍の違う人同士の会話」がイメージされがちですが、この学問分野で扱う「文化の違い」は、それだけではありません。

たとえば、ジェンダー、宗教、地域性、社会階層など、異なる価値観や生活背景をもつ集団同士のコミュニケーションも、異文化コミュニケーションに含まれます。さらに視点を広げれば、一人ひとりが異なる価値観や人生経験を持っているという事実から、ある意味では「人と人とのあらゆるコミュニケーション」が異文化コミュニケーションだと考えることもできます。

つまり、異文化コミュニケーションとは、違いを前提に、相手を理解しようとする姿勢そのものなのです。

「コミュニケーション」という言葉の原点

「コミュニケーション」という言葉の語源には、神聖な背景があります。もともとは、キリスト教において信者と神との霊的なつながりを意味する言葉として使われていました。語源となるラテン語「communis(コミュニス)」は、「共有する」という意味を持ちます。つまり、コミュニケーションの本質は、何かを共にすることにあるのです。

異文化コミュニケーションの重要なキーワード

  • 自文化中心主義(ethnocentrism):自分の属する文化の価値を基準に他の文化を判断する。自分の文化を優位に考える。
  • 文化相対主義(cultural relativism):世の中の文化はそれぞれの存在価値が内在しているために、文化に優劣はなく、違いを尊重する姿勢

💡 文化に上下関係はなく優劣はない。横並びの対等な関係である。異文化コミュニケーションにおいて、異なる文化を理解し尊重するこは、最高のリスペクトである。


3. 行動のコンパスとしての価値観

私たちの行動や判断のベースになっているもの──それが「価値観」です。
価値観は、精神文化の土台をなすものであり、自分自身の「行動のコンパス」と言える存在です。

この価値観は、自分らしさ=自分軸の源でもありますが、同時に環境や人生経験によって変化していくものでもあります。
ただし、すべてが簡単に変わるわけではありません。表面的には変化しても、深層にある「核となる価値」は揺るがない場合もあります。

ここでは、価値観を2つに分類して考えてみましょう。

① 個人的価値観(先天的)

これは、生まれた時の“天体の配置”などに由来する、生まれ持った気質や感受性など個人固有の傾向性です(※)。
「生まれた瞬間の宇宙の影響」といった自然哲学的な視点を含めて捉えています。

② 社会的・文化的価値観(後天的)

これは、育った社会や文化の中で後天的に身につけていく価値観です。

『哲学辞典』では、文化の中に生きる人々の行動には「共通導因」があるとし、こう述べています:

「文化をになう住民も、一般に、一定の方向へその行動を導く共通導因が、そのになう文化から与えられている。よく統合された文化ほど、この導因が明確に看取される。文化的次元において行動を律する導因になっている主観的なもの、それを価値観という。」

つまり、価値観は社会や文化によって与えられる部分が大きいのです。
例えば、「清明」「お盆」には家族・親戚が集まり、ご先祖様を敬って飲食を共にするなどといった価値は、沖縄という文化の中で自然と身につけられるものかもしれません。

私たちは「自分だけの先天的価値観」と「社会や文化によって育まれた後天的価値観」という二重の価値観レイヤーを持って生きていると考えられます。異文化と出会ったときに葛藤が生まれるのは、これらの価値観が揺さぶられるからなのです。

※補足:個人的価値観の天体の影響についての言及は、東洋的世界観や哲学の文脈に基づいた理解です。異文化コミュニケーション学とは異なる立場で扱っています。

🔄 価値観は、変化する環境と変わらない本質のあいだで、自分らしさをかたちづくる羅針盤です。


4. アイデンティティの重層性

アイデンティティとは「私は誰か」を問う心の軸です。「自己同一性」「自己認識」と言われますが、その概念はなかなか理解しずらいでしょう。アイデンティとは、価値観、興味関心、才能、社会的立場、職業、国籍、民族、ジェンダー、自己理解、使命、人生の目標、ライフデザインなど、様々な概念を含んでいます。『はじめて学ぶ異文化コミュニケーション — 多文化共生と平和構築に向けて』には、以下のように書かれています。

”自己概念とは「自分を対象として把握した概念であり、自分の性格や能力、身体的特徴などに関する比較的永続した自分の考え」と定義される。つまり、簡単にいえば自己イメージと言い換えることができる。(中略)一般的には他者の評価と社会的比較の2つが最も大きな要因とされている。”(P39) 

私たちは複数のアイデンティティを持ちながら生きています。異文化コミュニケーション学で重視されているのは、自分が特定の集団に帰属しているという帰属意識にもとにした、文化的/社会的アイデンティティです。集団とは、国籍・言語・信条・所属集団などでありますが、どの帰属意識が高く意識されているかで、個人の「私観(わたくしかん)」は変わります。

私たちはだれもが多面的なアイデンティをもっています。ここでは、アイデンティの種類を4つに分類して考えてみます。

① 個人的アイデンティ(先天的)

個人的アイデンティとは、個人が生まれながらにして持つ性質や気質、思考傾向を指します。ここでは、東洋哲学の視点を取り入れ、生まれた時の天体の配置から生年月日と時刻を陰陽五行に分類して個人の性質を見分ける四柱推命の考え方を基礎としています。これは人の「天命」や「宿命」とも関係し、その人らしさの根本的な源とされるものです。個人的アイデンティは、自己理解の核となり、人生の選択や価値観の形成に深く影響します。

②文化的アイデンティ(後天的)

文化的アイデンティとは、人が生まれ育った地域や民族、言語、信仰、芸術、風習などの文化的背景によって形成される自己認識です。これは家庭や地域社会、教育などを通じて徐々に身につき、自らの「所属感」や「世界の見方」を形作ります。

③社会的アイデンティ(後天的)

社会的アイデンティとは、年齢・国籍・階級・ジェンダー・ライフステージなど、社会の中での役割や立場に関連して構築される自己認識です。これは、周囲の期待や社会的ラベルを通して内面化されるものであり、自他の関係性の中で変化していく動的な側面を持ちます。

④職業的アイデンティ(後天的)

職業的アイデンティは、仕事や専門分野に関する自己認識や使命感、プロフェッショナルとしての自負などを含みます。これは、キャリア形成や職場での経験、社会的承認などを通じて後天的に培われるもので、個人の人生の中で重要な意味を持つことが多いです。

【図解】4種類のアイデンティ(要素と性質)

分類要素性質
① 個人的アイデンティ(先天的)生年月日、天体配置、陰陽五行、気質、性格静的・本質的だが変化もあり
② 文化的アイデンティ(後天的)言語、信仰、風習、教育、地域文化経験によって形成・変化する
③ 社会的アイデンティ(後天的)性別、年齢、国籍、階級、社会的役割動的・関係性の中で変容する
④ 職業的アイデンティ(後天的)仕事、専門性、キャリア、ライフワーク環境や経験により書き換え可能

先天的な個人的アイデンティは、自己に内在する静的で本質的なものです。しかし、同時に、止まることなく動き続ける天体の影響を受けているので、天体の配置により、視点が変化したり、勢いが強まったり弱まったりする性質があります。後天的アイデンティティは、自分をとりまく様々な環境の影響を強く受けており、動的に変化するもので、経験や環境によって書き換えられる存在です。

「自分は何ものなのか」と問いかけた時、自分が認識している自分と、他者から認識されている自分が違うと感じる時、アイデンティは揺らぎます。自分の価値観は何か、どの集団への帰属意識を優先したいのか、使命感をもって取り組めることは何か。多面的なアイデンティの一つひとつを確認していく延長線上に、それらを統合した全体性があります。全体性の中で自分への理解を深めながら人生のイメージを描いていくプロセスが、アイデンティを形成していきます。

学術的な考え方で注意していただきたいのが、専門用語とは同じ言葉でも学術分野によって意味が違うということです。異文化コミュニケーション学における”文化”とは、2.異文化コミュニケーションとはでお話したように、高等文化というより一般文化であり、それは、日常の生活様式です。ここでお伝えしている4種類のアイデンティすべてを包括していると言えます。一方、前のパラグラフの文化的価値観、ここでお伝え意している文化的アイデンティの”文化”は、私たちが一般的にイメージする文化の意味合いが強く、地域性を帯びている傾向が強いととらえていただけるとわかりやすいかもしれません。ここでは、アイデンティの多面的性を理解してもらうよう、異文化コミュニケーションの定義から逸脱してカテゴリー分けを行いました。

異文化コミュニケーション学における”文化”は”価値観”とも言いかえることができるほど広い範囲を含み、深層にある精神文化が表層的な行動文化・物質文化に大きく影響を及ぼしています。

🔄 アイデンティティは、自分の経験や環境の影響を受けながら、変化し続けアップデートされていきます。


5. 多文化社会における文化的アイデンティティ発達モデル

多文化社会において人は、自身の文化的背景と異なる文化の社会との関係の中で、アイデンティティを段階的に発達させていきます。以下は、少数派・主流派・多文化人という立場別に見た、典型的な発達モデルです。

①少数派の文化的アイデンティティ発達モデル

  1. 無自覚(よく考えていない)
     ── なんとなく主流派に憧れる。少数派の自分を恥ずかしく思うことも。
  2. すりより(主流文化への同化)
     ── 偏見、差別的な眼差しを感じ、主流派に対する強い同化願望をもつ。
  3. 抵抗と分離(自文化への回帰)
     ── 主流文化に対して反発し、自文化の価値や誇りを再評価する段階。分離志向になることも。
  4. 統合(複数文化を内包した自我形成)
     ── 自文化に帰属意識をもつと同時に、差別や偏見には反対の意思表明をし、行動に移すことができる段階。

②主流派の文化的アイデンティティ発達モデル

  1. 無自覚(気に留めていない)
     ── 自身が文化的に優位な立場にいることに無自覚で、他文化の存在や課題に考えていない状態。
  2. 受容(他文化への気づき)
     ── 少数派への偏見や差別に意識的、無意識的に取り入れ、不公正な社会の仕組みに自らも加担している。
  3. レジスタンス(特権への認識)
     ── 主流派である自分たちの文化的特権や不公正な社会の仕組みに気づき、問題の根源は主流派にあると考える段階。
  4. 再定義(新たな自己理解)
     ── 主流派としての自らのアイデンティを再定義し、肯定的に捉え直す段階。レジスタンスのように自分の所属する主流派を否定することなく、世の中の不公正をなくすことに尽力するなど、独自の確固たるアイデンティを確立。
  5. 統合(多文化的視点の獲得)
     ── 自分の所属する主流派のアイデンティを維持しながら、少数派の存在も肯定的に捉え、少数派へのエンパシーも表明できる。

③多文化人の文化的アイデンティティと自己形成

  1. 混乱・葛藤(どの文化にも所属できない)
     ── まわりとの差異に気づき、どこにも所属できないという感覚を持ち、自分のアイデンティティについて考えざるおえない。
  2. 一方のアイデンティを主軸にする(無理にどこかの文化に所属しようとする)
     ── 異なる文化の狭間で、一つのアイデンティを主軸と決め、無理やり所属しようという段階。
  3. 二重アイデンティティの獲得(自文化でも異文化でもない中間的視点)
     ── 複数の文化にまたがる自己理解を得る。「私はどこにいても私」「私は両方の文化を生きる」「私は地球人」というように、一つの文化に縛られず、柔軟で重層的な自我を形成する。
     →この段階に至ることで、**多文化人(マルチアイデンティ)**として、文化間の橋渡し役を果たす可能性も広がる。

🌐 多文化社会におけるアイデンティティは、他者との関係の中で揺れ動きながら、自分らしさを再発見するプロセスです。


6. 文化的アイデンティティの変化と異文化適応

異文化社会の中で人は、自らの文化的アイデンティティをどのように位置づけ、適応していくかという問いに直面します。その過程は一様ではなく、自文化と現地文化のあいだで揺れ動く個々の選択や葛藤を伴います。心理学者ジョン・ベリーの理論をもとにした4つのパターンは、異文化に接した際の文化的アイデンティティの変化を理解するうえで重要な視点を与えてくれます。

文化的アイデンティティの変化 4分類

  1. 周辺化:どちらの文化にも帰属しない。居場所がない(自文化アイデンティ:低、現地文化の取り込み:低)
  2. 同化:自文化を手放し、現地の文化にとけこもうとする(自文化アイデンティ:低、現地文化の取り込み:高)
  3. 分離:現地の文化を拒絶し、自文化を保持する(自文化アイデンティ:高、現地文化の取り込み:低)
  4. 統合:自文化を維持しながら、地域の一員になる(自文化アイデンティ:高、現地文化の取り込み:低)
現地文化の取り込み:低現地文化の取り込み:高
自文化アイデンティ:高分離(Separation)→ 自文化にこだわり、現地文化を拒絶統合(Integration)→ 両文化を肯定的に統合
自文化アイデンティ:低周辺化(Marginalization)→ どちらの文化にも属さない同化(Assimilation)→ 自文化を捨て、現地文化に同化

🌱 「統合」段階が文化的アイデンティの理想のかたちと考えられている


7. 神・人間・自然の関係──東洋と西洋の世界観

文化の深層には「世界の見方=世界観」があります。ここでは宗教観を通して比較します。

西洋の世界観(一神教的)

  • 神 → 人間 → 自然:縦のヒエラルキーで上下関係が厳正
  • ”キリスト教のような一神教の世界観は、全能な神は絶対的な存在として人間と自然を支配し、人間は自然を支配する権利を持つという上下関係が認められている”
  • ”人間は自然を征服することはできるが、いかに努力を積んでも神になることはできない”

東洋の世界観(多神教的)

  • 神・人間・自然の調和的関係:上下関係はなく、相互に交流している
  • ”神や仏のような町自然的存在と人間と自然の間は連続し、上下の明確な区別は認められない。”
  • ”神や仏は人間と同じ取扱いをされ、人間は来世で神や仏になり、人間や自然に神性や仏性が宿ると信じられている。”

『異文化コミュニケーションキーワード』「2 神と人間と自然の関係ーー世界観」(P5)より

🌸 一神教(西洋)と多神教(東洋)の神・人間・自然観の関係を見ればわかるように、精神文化の深層にある宗教観は、行動文化、及び、物質文化に多大な影響を与えている。


まとめ:文化の海を越えて、自分という大地に還る

異なる価値観にふれたとき、私たちの心は静かに揺れ動きます。その揺らぎこそが、自分の輪郭を知る手がかりとなるのです。
文化や背景が異なっても、人の奥底には共鳴し合う感情や願いが存在します。
違いに出会い、葛藤し、受け入れるプロセスの中で、私たちは世界と少しずつつながりながら、本来の自分──「大地」としての自己へと還っていくのです。
それは、境界線を越えて始まる「新しい私」と出会う旅。

参考文献リスト

石井敏, 久米 昭元, 長谷川 典子, 桜木 俊行, 石黒 武人(2013).『はじめて学ぶ異文化コミュニケーション — 多文化共生と平和構築に向けて』. 有斐閣.

古田 暁 (2001).『異文化コミュニケーション・キーワード』 .有斐閣.

東洋思想から見る、異文化コミュニケーション学

今回のブログでは、異文化コミュニケーション学に加えて、私の専門である東洋思想の視点から「価値観」や「アイデンティティ」についても触れました。
東洋思想では、「天・地・人」の三位一体の調和が、人生をよりよい方向へ導くと考えられています。

  • 天(てん):生まれたときの天体の配置によって与えられる“宿命”や“運命”を意味します。これは四柱推命の領域であり、先天的な性質や才能への気づきは、自己理解の基盤となります。
  • 地(ち):環境や風土といった後天的な要因であり、「風水」によって調整可能な要素です。文化的・社会的・職業的アイデンティは、まさにこの“地”に影響されるものです。
  • 人(じん):人としての在り方、つまり人格や志といった精神的側面を指し、「人間学」や「帝王学」と呼ばれる領域にあたります。

西洋の異文化コミュニケーション学と東洋思想は、一見異なるようでいて、「全体の調和を重んじる」という点において共鳴し合う部分が多くあります。文化を超えるということは、外に出ていくこと以上に、自分の内なる軸と向き合うことなのかもしれません。

もし、こうした東洋思想に興味を持たれた方は、ぜひ期間限定でプレゼントしている「首里城の風水思想」動画をご覧ください。
沖縄の歴史と精神文化に触れるひとときを、お楽しみいただければ幸いです。

▶︎首里城の風水思想をひも解く特別映像講義60分(動画視聴はこちら)

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琉球風水研究者/ロンジェ®琉球風水アカデミー学長 立教大学大学院修士(異文化コミュニケーション)。 沖縄国際大学経済学部地域環境政策学科 非常勤講師。 首里城や風水集落を通して、琉球王国の自然観と空間思想を研究。 ロンジェ®琉球風水アカデミーでは、風水×テーブルコーディネートを融合した講座を主宰し、伝統と現代をつなぐ実践教育を展開。 著書に『風水空間デザインの教科書』(ガイアブックス)。