2017年6月、沖縄県建築士会様・沖縄県建築士事務所協会様の年に一度の総会の日に、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューにて開催された「記念講演会」の講師を務めさせていただきました。
記念講演のオープニングムービー
講演会のダイジェストムービー
建築業界の関係者の皆さまへの講演はこれまで何度か経験していますが、今回は、格式のあるホテルで開催する大会場で、ご参加いただきました方が150名という、規模が大きなものでした。
記念講演会のテーマは、「建築設計と琉球風水」。
建築関係の皆さまとは、普段から、業務でご一緒しておりますが、業界全体の中では、風水はあまりイメージがよくないことも重々知っていました。
沖縄だけでなく、これは本土でも同じなのですが、風水鑑定というと、日本には、間取の設計に方位鑑定のみを使って判断する風水の専門家が非常に多いのが現状です。
敷地の周辺環境を入念に調査することもなく、図面に方位盤をあてて、鑑定を行うった場合、その結果、動線がめちゃくちゃになり、住心地の悪い家ができあがってしまったというお話しを残念ながら、いろんなところで耳にします。
実際、10年以上前、東京に住んでいた時、風水の本を数十冊読み、風水スクールに1年程通ったレベルの未熟な知識で住宅設計に風水の方位鑑定を取り入れて、風水の良い家を造ろうとしたことがあります。
しかし、方位鑑定の結果を取入れようとするほど、動線が乱れ、風水による間取り設計は、住み心地の良さを犠牲にすると感じました。
風水の実践により、暮らしやインテリアはそれなりに快適になりましたが、風水による住宅設計には、限界を感じていました。
東京から沖縄に移住し、沖縄の風水の本を読みましたが、沖縄でメジャーになっているいくつかの本は、家相風水による方位鑑定の沖縄バージョンのようなものでした。
特定の方位に対して、間取りが固定された考え方で、それらの本を読んで感じたのは、「沖縄の風水も本土とあまりかわらない」という印象でした。
しかし、沖縄の集落や民家には、高度な風水の技術が駆使された痕跡が残っていました。
その風水の痕跡が残る、集落、古民家での暮らしを通し、沖縄に伝わるの本物の風水が知りたいと、強く思うようになりました。
そして、王朝時代の風水師たちに励まされるようにして、住宅設計にも通用する琉球風水の術を学ぶ機会に恵まれました。
こういった背景から、方位鑑定メインの家相風水を施主様が希望されることにより、せっかくきれいに設計した動線を乱され、お困りの建築士さんの気持ちに、誰よりも寄り添える立ち位置にいると思っています。
今回は、建築業界の専門家の皆さまが対象の講演でしたので、一般向けのセミナーとは、全く違うコンセプトで、コンテンツを創りあげていきました。
本来の風水とは、住宅設計を混乱させるものではなく、自然と調和した住み心地の良い場をつくるための方法論であること。
風水の方法論は、マニュアルのように○×で判断するものではなく、哲学と理論をふまえた上で、土地の性質と住む人の想いを調和させ、生命を育む場をつくることが目的。
環境工学、人間工学、量子力学、電子工学、心理学、脳科学など、科学の中に風水術の答えを、多数見出すことができること。
そして、今、沖縄に残る王城、集落、民家などの風水の風景は、地球上の宝物のような存在。
この美しい自然のジュエリーを300年後の未来へギフトとして残したいという想いを、お話しさせていただきました。
講演後にいただいたご感想を、以下ご紹介します。
「二世帯住宅の設計をしていますが、玄関や水回りが鬼門にかかるといって、設計が進みません。琉球風水であれば、良い家造りができそうな氣がします。」
「『土地の声を聴く』という表現が、非常に印象的でした。外部環境を観察して、風水を取入れることで、べストプランはおのずと詰めることができると感じました。」
「風水鑑定は、方位鑑定の結果を取入れることが目的になりがちだが、本来の目的は、快適な住まいづくりであり、方位鑑定よりも、住み心地の良さが優先であることがわかった。」
「琉球風水のメイン鑑定法である『形勢法』と方位鑑定の『理気法』の使い分け方が、非常に勉強になりました。何ごとも一方向から物事を考えないで、多角的に物事を見ていくことの大切さを改めて感じました。」
「今回の講義は大変参考になりました。今までの風水の考え方は、思い込み的なことが多々ありましたので、興味深く聞かせていただきました。」
「風水の面白さがわかる、素晴らしいセミナーでした。」
「建築設計の本旨と琉球風水の目指すところが同じであり、敷地から読み解く要素を具体的にしていくことが大切であると再認識いたしました。」
建築業界の皆さまの前での講演でしたので、とても緊張いたしましたが、温かいメッセージの数々に、感動いたしました。
300年後の未来へのギフトとして、沖縄の美しい風景を残すため、琉球風水師として、沖縄の建築設計に、お役に立てる人生を送りたいと思います。
東道里璃 (とうどう りり)
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