写真:沖縄タイムス副読紙「週刊ほ〜むぷらざ」2019年11月28日掲載紙面
「お部屋にアクセントが欲しいけど、どんな風にコーディネートしたらいいのだろう?」
この記事では、リビングをエレガントに心地よくしつらえる、カーテンやクッションなどのファブリック(布)をコーディネートするコツをお伝えします。
沖縄の大手メディアの新聞コラムでも書かせていただいたコンテンツに、さらに詳しい解説を加えてお届けします。
以前、沖縄のコンドミニアムホテルでファブリックのコーディネートに関わった時に、実際に風水コーディネートしたプロセスを解説します。色や柄の美しさに加え、風水ならではの心地よい穏やかな空間を演出する考え方をお伝えします。
参考にしていただければ、カーテンやクッション、テーブルセンターなどのコーディネートをする際に、琉球風水の特徴の一つでもある「陰陽理論」を活用することで、氣の流れを整えながら、エレガントなインテリアにしつらえるポイントがわかります。
風水でインテリアというと、西に黄色、丸いもので金運アップなど、方位に合わせた色やアイテムを取り入れる、というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか? これからお伝えするファブリックコーディネートは、その方法とはまったく違います。
美しいけど、オシャレだけど、何かが違う…。イマイチ、心地よくない…。
そういう空間、ありますよね? 心地よく感じられない原因は、とてもシンプル。それは「調和」が取れていないからです。
インテリアを美しく、心地よくするコツ。それは、陰陽バランス8割、美的センス2割。
これは、実際にインテリアの設計デザインやコーディネートをするときに、私が感じている法則です。
心地よさは、自然界の原理原則に従って、調和を取ることで生まれます。その原理原則の一つが「陰陽理論」です。
インテリアにおける陰陽バランスとは、寒々しい・温かみがある、地味・華やか、柔らかい・堅い、曲線・直線など、色や柄、素材のもっている相対する性質のバランスをとることです。
東西南北の方位やお部屋の役割、そして色の種類や明るさ、素材の質感、物の形には、それぞれ陰と陽の性質があります。
【色と柄の陰陽】
陰 性 | 陽 性 |
寒色系、青、緑、黒、グレー 暗い色、彩度の低い色、淡い色 | 暖色系、赤、オレンジ、ピンク、白 明るい色、鮮やかな色、濃い色 |
小さい柄、地模様 地味、シンプル | 大きい、大胆な柄 派手、華やか |
【素材と質感の陰陽】
陰 性 | 陽 性 |
ザラザラ、でこぼこ 軟らかい 布、漆喰 素焼きタイル 柔らかみのあるツヤのない木材 すりガラス 植物繊維、竹、籐、ラタン、ウォーターヒヤシンス | ツルツル、ピカピカ 堅い ビニール、樹脂、プラスチック、革製品 大理石など、表面が硬くて滑らかな石材 硬くて磨きのかかった木材 光沢のあるガラス ステンレス、金属 |
数千年の歴史をもつ古代中国哲学「陰陽理論」の考え方を、私は、現代住宅にも実用的に使えるようにアレンジして、インテリアやファブリックのトータルコーディネートに活用しています。
それぞれの性質を踏まえて、何を、どんなバランスで取り入れるか。陰と陽、どちらかに偏り過ぎず、両方の調和を大切にすると、快適で心地よい空間を作り出すことができます。
それぞれの性質は、どちらかに偏りすぎると心地悪いと感じます。たとえば、モダンスタイルのガラスやステンレスの素材などツルツル、ピカピカした質感だけだと氣の流れが早く落ち着きません。ここにザラザラ、凸凹した質感のラグやクッションなどを取り入れると、氣の流れが穏やかになり心地よいと感じます。
カーテンやクッションなどのファブリックは、ザラザラした質感が氣の流れをゆるめ、陰陽のバランスを調整するのに、とても役に立つアイティムなんです。
それぞれの要素のバランスは、空間の使い方によって最適な比率が異なります。ファーストフード店のようにお客様の回転率を上げて売り上げを伸ばすことが目的であれば、ツルツルした氣の流れの早い空間にして、食事を終えたらすぐに席を立っていただくほうが、売り上げが上がります。一方、ラグジュアリーな客単価の高いお店では、長い時間ゆっくり過ごしていただくことを目的に空間を設計すると売り上げが上がります。
一般住宅の場合、家族や来客が集まり、ゆっくりと落ち着いて過ごしたいという目的の方が多いと思います。氣の流れを穏やかにするザラザラ、凸凹した質感や、柔らかみのある素材を取り入れるようにすると良いでしょう。ツルツルが陽、ザラザラが陰ですので、素材の質感の比率は5:5か、やや陰の比率を高めにして氣の流れを遅くするのが一般の住宅ではおすすめです。カーテンやクッションなどのファブリックは、色や柄の面では華やかさをプラスし、氣の流れの面では穏やかな氣の流れを作り出すので、空間の氣のバランスを整える大活躍のアイティムです。
インテリアやファブリックのコーディネートで、私がもう一つ活用している風水理論が「五行説」です。世の中の全ての事柄は、木・火・土・金・水(もくかどごんすい)の五つの要素で説明できるという考え方。五行それぞれに、司どる運氣や象徴する色、形、素材があります。
ファブリックコーディネートの依頼を受けた沖縄のコンドミニアムホテルは、お部屋のテーマカラーと、家具や壁紙を決められた後の段階でした。
階ごとにお部屋のテーマカラーが違っていて、それが偶然にも、木・火・土・金・水を象徴する緑、赤、茶、黄、水色の5色!
それぞれのカラーのお部屋を陰陽バランスを軸に、さらに五行の要素も取り入れて、カーテンやクッション、テーブルセンターなどをトータルでコーディネート。心地よい氣が流れ、調和の取れた、エレガントで上質な空間を実現することができました。
家具や壁紙が変えられなくても、風水の考え方を取り入れて、カーテンやクッション、テーブルセンターなどのファブリックをトータルコーディネートすることで、あなたのお部屋の雰囲気や氣の心地よさも格段に変わります。
今回は、氣の流れを整えながらエレガントにしつらえる、ファブリックコーディネートのポイントをお伝えしました。
東道里璃 (とうどう りり)
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