Table of Contents

琉球風水テーブルコーディネート講座 2025年6月テーブルコンセプト設計の流れ

🔸はじめに

いつもご覧いただきありがとうございます。
琉球風水師の東道里璃です。

沖縄の自然のリズムと調和したテーブルコーディネートの在り方を、日々探求しております。

2025年6月の琉球風水テーブルコーディネート講座では、夏至を迎える沖縄の聖地「玉城城跡」に差し込む朝日をテーマに、五行や陰陽、風水の思想を取り入れた “祈りのテーブル” を設計いたしました。

本記事では、琉球風水に基づくテーブルコーディネートの設計プロセスをご紹介します。

地形・方位・文化・五行といった古代の智慧をふまえながら、“ただ美しいだけではない”、心と空間を整えるコーディネートの在り方を探っていきます。

年中行事や土地の記憶と結びつけながら、光・色・器・装花に意味を込めて整えていく過程は、装飾を超えた「空間哲学」ともいえるもの。

テーブルの上に、季節と文化、そして心を映す──
そんなコーディネートのヒントをお届けできれば幸いです。

…とはいえ、あまり堅く考えすぎずに。
「テーマって、どうやって決めたらいいんだろう?」と感じている方への、ささやかなヒントになれば嬉しいです。


🔸テーマをどう決めるか、という小さな問いから

テーブルを前にしてふと立ち止まることがあります。
「今回は、どんなテーマで整えようか」と。

季節の色や花をきれいに並べるだけではなく、
その奥にある自然の巡りや、土地の記憶、祈りの感覚に触れながら──
空間を“物語”として設計するということ。

このページでは、琉球風水の視点から、
2025年6月の講座で設計した「夏至 × 玉城城跡 × 光と祈り」のテーブルテーマが
どのようにかたちになっていったか、そのプロセスを綴っています。

もし、日々の食卓やちょっと特別な時間を整えるとき、
「テーマってどうやって決めたらいいのかな」と
ふと思ったことがあるなら──
そんな優しい問いに寄り添う、小さなヒントになれたら嬉しいです。

🔸テーブルデザインの背景

自然・歴史・風土が重なり合う「夏至」の時期に、沖縄という土地の記憶を大切にしたコーディネートを目指しました。夏至の頃、城門に朝日が差し込むことで知られる聖地・玉城城跡。その光と向き合う時間にインスピレーションを得ました。

玉城城跡。夏至の朝日が城門に差し込む瞬間の写真

🔸テーブルデザインのテーマ設計

今回のテーマは「光と祈り」。風水の五行思想をベースに、空間に宿る“氣”の設計を試みました。

目的:生命力・霊性・感謝を宿す空間づくり

🌿 梅雨明けの沖縄にて
夏至の朝日が差し込む「玉城城跡」の神聖な光をテーマに、
自然信仰と古代の叡智に敬意を表しながら──
光の道と五行の調和 × 陰陽のバランスで、夏至の生命力・霊性・感謝を食卓に宿らせます。

ただ美しく整えるのではなく、内面と空間が共鳴するようなコーディネートを大切にします。

テーマ(陰陽五行・沖縄文化・年中行事・風景)


玉城に差し込む夏至の光 ── 聖なる朝日のテーブル

琉球開闢の地とされる玉城城跡(たまぐすくじょうせき)は、天空と暦が交差する神聖な場所。
夏至の日の朝、くり抜かれた岩の門にまっすぐ朝日が差し込む神秘の瞬間。天と地を結ぶ太陽の氣が満ちます。

この“光”を、太陽(火)のエネルギーとして捉え、城跡をかたちづくる琉球石灰岩(土)と組み合わせ、
陰陽五行の調和の中に祈りの意図を込めて再現しました。

「夏至 × 玉城城跡 × 光と祈り」──
古の記憶に心を寄せ、今この瞬間に“場”として整える。そんな空間設計を試みています。

天と地をつなぐ太陽の氣を象徴する“光”と、古の記憶に静かに心を寄せる“祈り”を融合させた設計です。


🔸対象/開催地

対象:探究型の大人女性

沖縄の風土文化に関心があり、自然と共に生きる智慧を学び続ける探究型の女性たち。美意識と知的好奇心を兼ね備えた、感性重視の女性を想定してデザインしています。

場所

ロンジェ®琉球風水アカデミー ダイニングルーム(沖縄県南城市玉城)

日程

2025年6月12日(夏至直前/梅雨明け直後)
「五月ウマチー(初穂の感謝)」のタイミングと重なる、
自然への祈りが深まる季節。


🔸スタイルと演出要素

形式や構成にも意味を込め、空間全体が一つの物語になるよう演出しました。

スタイルアフタヌーンティー

食事のスタイルにも陰陽のバランスを取り入れ、会話が生まれるような時間帯・構成を採用しました。

色彩設計:ライトベージュとディープレッドの意味

大地の氣を象徴するアースカラーと、太陽の氣を呼び込む赤。色がもたらす五行の調和を意識しています。

カラー意味
ライトベージュのテーブルクロス土の氣・琉球石灰岩・玉城の城門
ディープレッドのランナー火の氣・玉城城跡へ流れ込む朝日のライン・聖域の印

インテリアスタイル

ナチュラル × クラシック
風水的に「氣が流れる空間設計」+ 静けさと霊性を感じさせるクラシカルな重み


🔸メニュー構成

テーブル上のウェルカムドリンク、琉球宮廷菓子、軽食

ハイビスカスティー

ウェルカムドリンクには、沖縄らしい情景を思い浮かび、陽の氣を満たす赤いハイビスカスティー。

月桃の葉に包んだ小さなおにぎり

大地の恵みである米と香り高い月桃の葉で、土と風の氣を調和させました。

琉球菓子「クンペン」

法事や祭礼での供物にも選ばれる由緒あるお菓子で、“供える”という行為をテーブルの上に再現しました。


 ・琉球王国時代から伝わる、冊封使をもてなす歓待料理にも用いられた格式ある菓子。
 ・琉球王国最高の神女、聞得大君(きこえおおきみ)が、黒胡麻餡のクンペンを供えたという記録も残る。
 ・黒胡麻・ピーナッツ・九年母(カーブチー)の餡を包んだ丸型。
 ・丸い形は、太陽・調和・輪廻の象徴として。
 ・黒漆器+月桃の葉にのせ、ティースタンドで優雅に演出。

さんぴん茶(ジャスミンティー)

心を鎮め、場を清めるお茶として、食後の氣を整える意味を持たせています。


🔸器と演出

器そのものにも土地の記憶を宿し、空間に“沖縄らしさ”を静かににじませました。

やちむん(新里竜子)で表す清らかさ

土のエネルギーを受け継ぐやちむん。繊細な装飾と透明感のある釉薬の輝きが、美しく清らかな氣を引き寄せます。

黒漆器による高低差と華やかさの演出

コントラストと立体感を生み、テーブル全体に陰陽のダイナミズムをもたらしました。


🔸BGMと空間デザイン

空間は五感で感じるもの。視覚だけでなく、音の氣づかいにもこだわっています。

沖縄の自然音と楽器による構成

水音・木々のざわめき・三線の音など、自然とつながる音のレイヤーを重ねました。

気が流れる風水的空間設計

座席の配置・照明のあたり方・風の抜け方まで含めて“氣が整う”構成にしています。


🔸装飾的演出の要素

ゴホウラ貝のセンターピースに込めた意味

玉城城跡城門の形の由来と言われるご法螺貝をテーブル中央に

海の氣を取り入れる“白い巻き貝”は、浄化と新たな氣を呼び込む象徴です。
・弥生期の神具/霊力と神聖の象徴
玉城城門の祈りのかたちを表現

白は神聖な輝き、黄は希望の光──紫と赤が内なる火をたたえる、テーブル装花。

エネルギーの循環を促す、夏至のテーブル

白・黄・紫の花で表現された、夏至の光を象徴するテーブル装花
白(レースフラワー)/黄(ひまわり)/紫(カンパニュラ)/赤(シネンシス)/緑(ヒメミズキ)


・白は夏至の朝に差し込む光、神聖なはじまりを象徴
・黄は大地に芽吹く希望とよろこびの色
・紫は静かに燃える内なる火──精神性を宿す、陰の炎
・赤は生命の火、場に命の息吹と情熱を添える陽の炎
・緑は五行の“木”、全ての始まりと成長を支える色
・花々が朝日のようにテーブルを包みこみ、光と火が交差する空間に

天と地の氣を整えるテーブルランナーとプレイスプレート

夏至の朝日を象徴する赤いランナーと、大地の安定を表す四角いプレート

天から降り注ぐ朝日の氣を強める設え
テーブル中央にまっすぐ伸びる赤いランナー。
夏至の朝日が差し込む光の道を象徴し、布の流れと素材の質感が、空間に滑らかな氣の流れをもたらします。

大地の氣を支えるかたち
プレイスプレートには、大地の安定を表す四角形を。
“地”のエネルギーに抱かれるような安心感が、テーブルに静かな重みと調和を加えます。


🔸コンセプト(How)

今回の設計書に込めた思想と、コーディネートの奥にある空間哲学を総括します。

── 夏至の祝祭、光と祈りのテーブル ──

心を整えるためのコーディネートを目指したテーブル

季節の節目に自然と共鳴し、目に見えない世界とつながるテーブルを目指しました。

夏至の日の出。玉城城跡の門にまっすぐ差し込む朝日。
その光の道筋をテーブルの上に写し取り、
梅雨明けの沖縄に宿る生命と再生の氣をかたちにしました。

  • ライトベージュのクロス=琉球石灰岩(地)
  • ディープレッドのランナー=太陽のライン(火)
  • 中央のゴホウラ貝=祈りと霊性

明るいベージュ=玉城城跡石門に使われている琉球石灰岩を表し大地を象徴、赤いランナーは朝日の道筋、そして中央のゴホウラ貝は神とつながる霊力を高める。玉城城跡は、天気を司る神が宿るとされ、かつて国王が雨乞いを行った御嶽。稲作の初穂の実りに感謝を祈る「五月ウマチー」とも時期が重なり、自然への感謝が深まる季節です。

テーブルに込めた五行 × 自然信仰の思想

五行思想と沖縄の自然信仰を、器や食、花、音といった“場”の全要素に落とし込みました。

このテーブルは、五月ウマチー(稲の感謝)とも重なり、
自然と共に生きる琉球古来の時間観・信仰・五行の智慧
を、
現代のアフタヌーンティーという空間に宿らせたものです。


🔸おわりに

テーマの決め方に悩んだとき、土地や季節、行事をヒントにすると、自然と物語が立ち上がります。

テーマの決め方迷える時のメッセージ

「何を選べばいいか分からない…」そんな時こそ、空や風、土地の声に耳を澄ませてみてください。季節や土地の記憶を読み解いて意味を込めることで、テーブルコーディネートは“整える空間哲学”へと昇華します。

空間美の原点をたずねて──首里城へ

琉球王国の正史『球陽』を手がかりに、首里城の空間構造と風水思想を読み解いた60分の解説動画を期間限定でプレゼントしています。天・地・人の調和を重んじた「美のはじまり」を、歴史資料とともに深く探ります。

風と光と祈り──
その根底に流れる「氣」の思想を、ぜひご自身の感性で受け取ってみてください。

The following two tabs change content below.
琉球風水研究者/ロンジェ®琉球風水アカデミー学長 立教大学大学院修士(異文化コミュニケーション)。 沖縄国際大学経済学部地域環境政策学科 非常勤講師。 首里城や風水集落を通して、琉球王国の自然観と空間思想を研究。 ロンジェ®琉球風水アカデミーでは、風水×テーブルコーディネートを融合した講座を主宰し、伝統と現代をつなぐ実践教育を展開。 著書に『風水空間デザインの教科書』(ガイアブックス)。