環境が行動を決めている

変えられない間取りと、変えたい日常

風水の本で間取りや方位ついて読んでも、
「それがわかったところで、今の暮らしは変えられない」と感じたことはありませんか。
風水を学んでも、暮らしが思うように変わらない。
そんなもどかしさを抱えることは、決して珍しいことではありません。

風水に興味を持つ多くの人が、ふと立ち止まります。
「吉凶が分かっても、うちの間取りは変えられない」
「方位はどうにもできない」
「建物自体が固定されているから、何も手をつけられない」

それでも、人は直感的に知っています。
環境は、人生に大きな影響を与えるということを。

では、どこに手をつければ、日常を少しずつ変えていけるのでしょうか。
風水の学びを前にして、多くの人が抱く問いは、ここにあります。

実は、毎日の暮らしの中に、すぐに整えられる「小さな環境」があるのです。その場所を見つけると、穏やかなカーブではあるものの、人生の質は確実に変わり始めます。

風水は本来「環境の思想」である

風水と聞くと、つい吉凶判断やラッキーアイテム、置物の話を思い浮かべがちです。
でも、風水の本質はそこではありません。

風水は、本来 環境・行動・時間 の関係を読み解く「思想」です。
自然のリズムや方位、時間の流れを観察し、そこから人の行動や暮らし方の指針を導く知恵なのです。

しかし、現代の住宅にそのまま当てはめると、すぐに壁にぶつかります。
間取りは簡単に変えられません。引っ越しもすぐにはできません。

つまり、「変えられない環境」に風水を当てはめることには限界があるのです。
風水の知識があっても、現実の暮らしが思うように動かない…そんなもどかしさを抱える人が多いのは、このためです。

では、日々の暮らしの中で、自分の手で少しずつ整えられる環境はどこにあるのでしょうか?
次の段落では、風水の学びを「今日から変えられる環境」として実践する方法をご紹介します。

実践から見えてきた事実|環境が行動を決めている

私たちが講座や鑑定、教育の現場で日々観察していることがあります。
それは、暮らしの状況や行動のパターンには、思った以上に 環境の影響が大きい ということです。

例えば、ゴミが散らかった家や、食事の習慣がおろそかになっている家庭では、暮らしが自然に制限されます。
意識や性格の問題に見えることも、実際には環境が行動を制限しているのです。

つまり、ここで言い切ることができます。

「人は、環境以上には行動できない」

環境が整っていなければ、いくら知識や意識があっても、行動は自然に制限されてしまうのです。

では、どうすれば自分の暮らしや行動を変えられるのでしょうか。
次の段落では、風水の知恵を 「変えられる環境」 に応用する方法を見ていきます。

では、どこなら変えられるのか|テーブルという環境

環境が行動を制限していると気づいたとき、次に生まれる問いはこうです。

「では、どこなら自分で変えられる環境があるのか?」

ここで注目したいのが、どこのご家庭にもあるであろう、ダイニングテーブル です。

家全体や間取りは変えられなくても、テーブルなら毎日、誰でも手を入れることができます。
食事や会話、意識…暮らしの重要な要素が交わる場所として、テーブルは小さくても実践の場として大きな役割を果たします。
ここを整えることが、日々の行動や意識の変化につながり、風水の知恵を日常に生かす第一歩となるのです。

風水環境学をライフスタイルに組み込むための循環|手を動かし、考え、振り返る

話を聞くだけでは知識は身につきません。
本を読むだけでは、感覚は育ちません。
テーブルを整え、なぜこの器を選んだのか考え、振り返る。この循環を繰り返すことで、空間を自分の手で整える感覚が身についていきます。
おせち料理や重箱、クジョルパンなどの器を通じて、季節や文化、個人の価値観を体験として反映することが、学びの核心です。

風水環境をつくる段階的ステップ|環境を理解し、介入し、構造を捉える

風水環境学を日常に取り入れるには、段階的な理解が役立ちます。

  • 環境を観察する:まず自分の暮らしや時間の流れを観察し、行動がどのように制限されているかを知る
  • 介入できる環境を整える:テーブルのような日常で動かせる環境を整え、行動や意識の変化を実感する
  • 構造を捉える:暮らし全体や長期的な時間軸を見渡し、環境と行動の関係を俯瞰する

風水を日常に組み込むのは「風水理論」や「風水的な診断」だけではありません。自分にとっての風水環境をつくるために、手を動かし、考え、振り返ることこそが学びの核心であり、生活全体に気づきや変化を生み出します。

なぜ「テーブル哲学」なのか

テーブルは単なる装飾ではありません。
それは、ライフスタイルを形作る 小さな環境 です。

環境が整うことで、日常の行動は自然に変わり、暮らしに向き合う意識が生まれます。
そして、そこから文化や思想に対する興味も自然と芽生えていきます。

ポイントは、「できることをまず整えた先に、知りたいことが見えてくる」 という順序です。
小さな環境を整えることが、学びや気づきの出発点になります。


【実践】日常での実践例|年末年始のおせちづくり

2026年元旦のおせち料理と飾り棚の正月装花 クジョルパンと重箱を中心に

私も風水に出会って以来、風水の一実践車であります。風水環境学を日常に取り入れるとき、理論だけではなく「実際の暮らしでの行動」が学びの核になります。ここでは、私自身が2025年年末から年始に行ったおせちづくりの具体例を通して、環境整備と行動の関係、段取りや気付き、そして来年に向けた目標までをご紹介します。

以下、準備から当日の作業、そこから得られた学びや反省点、さらに次回への目標まで、時系列で整理しています。
この一連の流れは、テーブルや料理を通じて環境を自分の手で整え、行動を変化させる実践例として、風水環境学の思想を日常に落とし込む手法ともいえるのではないかと思います。

年末の段取り(12/24〜12/31)

年末のおせちづくりは、豪華な料理を作るということだけを目的にせず、日常の環境を整える準備でもあると考えました。12月初旬には、12月のロンジェ®のテーブルコーディネート講座用のテーブル装花の依頼と同時に、しめ縄・お正月装花の手配を済ませ、年末に向けた装飾環境の土台を作っておきました。

12月24日には、自宅のパントリーと冷蔵庫のチェックを行い、家にある全食材をリストアップしました。そのリストを、AIに読み込ませ、クリスマスディナーのメニューを考案。家にあるものを消費することを第一の目的にして、冷蔵庫や調理環境の整理にもつなげました。

12月25日は朝からクリスマスディナーの準備。家のある食材だけで十分でした。

クリスマスディナーは始まる前には、しめ縄も到着し、新年に向けた空間づくりが徐々に整い始めました。

12月26日にはお正月メニューの主菜を中心に構成し、必要な材料をリスト化。

12月27日にまず主菜用の食材の買い出しを実施。

12月29日に野菜はやお餅などの買い物を済ませました。冷蔵庫と冷凍庫の効率的な配置も考えながら準備を進めました。

12月30日、31日は大掃除。これと並行して、おせち料理を手作りするため、段取りを整えてスケジューリングを行いました。

おせち準備と当日の流れ(12/31~1/1)

12月31日は丸一日おせちづくり。解凍する、切る、煮る、焼く、詰めるという作業を行っていきました。

元旦当日は、早朝から環境と料理の両方を整える時間です。
元旦は、雑煮の汁を作り、カニやエビなどの生でいただく海鮮や、ローストビーフを盛り付けました。

クジョルパンには、五行の色に沿った洋風おせちを詰め、重箱はモダンな唐草柄の黒い漆器を使用。朝から昼にかけて、家族が集う食卓に向けて、清浄な環境と祝祭感を同時に整えました。

テーブル上の器や装花、音楽までを含めた「空間全体の環境」を整えることが、日常での風水環境学の実践です。食卓環境がととのったことにより、おせち料理つくることへの興味、料理の意味に思いを巡らせることへと繋がっていきました。

気付いたことと学び

今回のおせちづくりを通して、多くの気付きを得ました。

  • なんとも言えない充実感。手間をかけて料理をし、ご馳走をつくること。昔は、これが一大イベントだったんだろうな。
  • シンプルな工程でも、種類が多ければ時間と手間が想像以上にかかること。予定した献立の全てを作りきれなかった。
  • 彩りや器の選び方は、料理そのものの味以上に空間と体験の質を左右すること。
  • 過去はおせちを作ることを考えてもいなかった。お重箱を持っていたけど、おせちを作ることも、所有していることも負担だった。結局、いつも、「おせちをどこで買うか」だけを考えていた。
  • テーブル環境の作り方を身に着け、クジョルパンや重箱、素敵なやちむんを自分で選べるようになったことで、そのスキルや物を活かしたいという思いがおせちづくりの動機になったこと。
  • テーブルを調えるための知識やスキルが身についたことで、手順や段取りがスムーズに整い、”環境が行動を支えること”を実感。
  • 神人共食。神を迎え、一緒に食事を楽しむ感覚をもっと深く感じたい。

こうした体験は、料理や掃除のスキルではなく、日常の環境を自分の手で整え、行動や意識に変化をリアルに感じた体験にもなりました。

来年の目標

来年に向けては、さらに文化的・思想的な要素を取り入れたおせち作りを目指します。

  • 沖縄や日本の伝統素材を使い、おせちの食材により文化的意味を加える
  • クジョルパンに沖縄料理を組み合わせ、東道盆のメニューを参考にする
  • 元旦の朝の儀式や若水のタイミングを家族で実践し、祝祭性を深める
  • 蓬莱山や縁起物の飾りを工夫し、五行や陰陽の調和をさらに視覚化する

小さな環境を整え、行動と意識の循環を意識することで、料理やテーブルコーディネートが学びと日常の両方に結びつきます。風水環境学の思想を生活に落とし込む具体的な経験をすることができました。


【言語化】テーブルコンセプト設計シート

ロンジェ®の「陰陽五行テーブル哲学講座」では、テーブルコーディネートの実践に加え、「テーブルコンセプト設計シート」を書くことで、自分の感覚で作り上げたテーブルを「言語化」します。このプロセスで、自分の感覚や行動の意味を振り返ることになり、より深く学ぶための機会になっています。

このテーブルで意識したポイントは3つ:1)五行の色彩バランス 2)器と文化の融合 3)祝祭性の演出です。

テーブルコンセプトのタイトルと全体イメージ

今回の元旦のおせちは、「陰陽五行が調和するクジョルパンと重箱で祝う元旦の洋風おせち」というコンセプトで設計しました。
中央には韓国宮廷料理で使われるクジョルパンを配置。蓋には螺鈿装飾で牡丹と蝶が描かれ、華やかで吉祥な雰囲気を演出します。さらに、日本の紀州漆器の黒い漆器の重箱も添えました。

テーブルクロスは清浄を象徴する白を選び、新年の始まりを視覚的にも整えました。

五行の色に沿って、料理を各段に盛り付けることで、視覚的な調和と食欲を同時に満たします。赤い四角い漆器プレートに金の丸皿を重ね、陰陽のバランスを象徴。箸は若狭塗の黒箸に螺鈿装飾が施され、器や料理の華やかさを引き立てます。白ワイングラスには若水を注ぎ、元旦の清浄と再生の儀式性を表現しました。

目的とテーマ

このテーブルの目的は、陰陽五行の色と形を通して、新年の調和と豊かさを体感することです。
クジョルパンと日本の重箱文化を融合させ、沖縄・和・韓の文化的要素を表現。料理は五味五色で五行の調和を象徴し、若水の儀式性で元旦の再生と祝福を体現します。

テーマの中心は以下の通りです:

  • 陰陽五行の色:🟢緑(木)、🔴赤(火)、🟡黄(土)、⚪白(金)、⚫黒(水)
  • 文化的要素:クジョルパン、重箱、やちむんの皿、若水
  • 年中行事:元日
  • ゲストの好み:フォーマルで華やか、色彩・器・盛り付けの美しさを重視

食卓の対象者・場所・時間

対象者は家族で、元旦の祝福を五感で楽しむことを想定しています。
場所は室内のフォーマルダイニングテーブルで、朝から昼にかけてのブランチに設定。洋風おせちブランチを通して、文化と祝祭性の両方を体験できる環境を整えました。

メニューと五行の段組み

料理は五行に沿って各段に色や味を意識して配置しました。

雑煮

  • ⚪🟢 東京風雑煮(鶏肉・小松菜・角餅)

クジョルパンの五行カラー料理

テーブルに彩りを添えるクジョルパンの料理は、五行の色に沿って配置され、見た目にも味覚にも調和をもたらします。
今年の洋風おせちでは、次のような料理を詰めました。

  • ⚫ 黒:こんにゃく煮(12時)、きくらげ炒め(6時)
  • 🟢 緑:ズッキーニマリネ(9時)
  • 🔴 赤:人参ナムル(3時)、赤玉ねぎ甘酢(5時)、刺身用赤エビ(中央)、ミジュンのエスカベッシュ〜人参×赤玉ねぎのマリネのせ(10時)
  • 🟡 黄:卵焼き細切り(8時)
  • ⚪ 白:白菜の昆布浅漬け(3時)

五行の色と形を意識して盛り付けることで、テーブルは食事の場としてだけではなく、環境を整え、日常に調和をもたらす小さな舞台となります。

重箱

一の重|小鉢

  • 🟠🔴 大豆のトマト煮
  • 🔵 いもくず寄せ(バタフライピー)
  • 🟢 白菜の葉の昆布浅漬け
  • 🟡 じゃがいもバター蒸し

二の重|主菜

  • ⚫ ローストビーフ
  • 🔴 ズワイガニ爪

三の重|主菜

  • 🔴 ズワイガニ姿
  • ⚪ ズワイガニ(ほぐし身)

その他にも、五行に沿った副菜や色彩で、視覚的なバランスと食欲を同時に満たしています。

器・装花・インテリアスタイル・BGM

  • :クジョルパン(螺鈿装飾)、重箱三段入れ子膳、赤い四角漆器+金の丸皿
  • 食器:取り皿はやちむん、若狭塗の螺鈿箸
  • 装花:松・菊、吉祥を象徴
  • テーブルクロス:白(清浄と始まりを象徴)
  • インテリアスタイル:フォーマル×和洋折衷×韓国宮廷風
  • BGM:洋クラシックをベースに琴や三線の音色を融合

八角形や五行の色彩を意識し、空間全体の調和を視覚的・聴覚的に演出しています。

How|実際の体験イメージ

元旦の朝、ダイニングに足を踏み入れると、白いクロスの上にクジョルパンと重箱が鎮座。蓋の螺鈿装飾が新年の華やかさを象徴します。
料理は五行に沿って彩られ、赤い四角漆器に金の丸皿を重ねることで陰陽の調和を表現。箸を手に取り、白ワイングラスに注いだ若水で元旦の清浄と再生を体感できます。
松や菊の装花が吉祥を演出し、クラシック音楽と和洋の調和した音色が空間を包みます。

このテーブルは、陰陽五行の調和、沖縄・日本・韓国文化の融合、さらに現代日本のライフスタイルに浸透している西洋文化の融合を象徴。
手を動かして、色や器、音楽、儀式性まで意識することで、単なる料理やテーブルコーディネートを超えて、日常に風水環境学の学びを落とし込むことができます。


変えられないものを嘆くより、変えられる環境へ

風水は、希望を奪う思想ではありません。
また、変えられない間取りに絶望するための学びでもありません。

大切なのは、日常の中にある「自分の手で整えられる環境」に目を向けることです。
テーブルや食卓のような小さな環境に手を入れることで、行動や意識が少しずつ変わり、暮らし全体に自然な変化が生まれます。

人生がしんどいと感じたとき、「自分の努力が足りないのか」「それとも環境が原因なのか」迷うことがあります。
この学びを通して身につくのは、まさにその判断力です。
環境を観察し、手を入れることで、問題の原因が自分自身なのか、環境なのかを見極める感覚を育てることができます。
そして、環境が原因であれば、改善可能な場所にまず手を入れることで、状況を確実に変えていけるのです。

今回ご紹介した年末年始のおせちづくりや、テーブルコンセプト設計の実践例は、その具体的な方法を示しています。
料理や器、色彩、配置、儀式性――すべてを意識して整えることが、日常の中で風水の知恵を生かす第一歩です。

つまり、変えられないものに嘆くより、変えられる環境に手を入れることこそが、人生を動かす力になるのです。

最後に言い切れることは一つ

テーブルは、人生に介入できる環境である。

まずは、今日のテーブルから整えられる小さな環境を一つ意識してみてください。器の配置、料理の彩り、クロスの色、音楽や香り。どれも日常で手を加えられる小さな環境です。手を動かすことで、行動も意識も自然に変わり始めます。

もし、もっと体系的に学びたい方は、「陰陽五行テーブル哲学講座」で、五行や陰陽、文化的要素を日常のテーブルに落とし込む方法を丁寧に解説しています。講座では、テーブルコンセプト設計シートを書き、実践を言語化することで、自分の感覚と行動の変化を実感できます。

もし、風水を「吉凶や占い」ではなく、環境学として捉え、実際の空間や歴史建築に応用した事例を見てみたい方は、首里城の風水動画をお楽しみください。

沖縄の歴史的建造物を、陰陽五行や方位、周囲の自然環境との関係性から読み解く内容で、テーブルや日常の空間だけでなく、都市や建築の環境整備にもつながる洞察を得られます。

日常の小さな環境から、歴史的空間まで、風水思想がどのように暮らしや行動、文化と結びつくのかを感じられる動画です。

首里城の風水動画を見る

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琉球風水研究者。 立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士。 沖縄国際大学経済学部地域環境政策学科 非常勤講師。 首里城や風水集落を通して、琉球王国の自然観と空間思想を研究。 著書『風水空間デザインの教科書』(ガイアブックス)。