首里城正殿の後ろ側の世界

ロンジェ琉球風水アカデミー、学長の横川明子です。

2015年から2016年にかけて、首里城の奥の空間、御内原の工事現場の見学ツアーに10回以上参加してきました。

正殿の後ろ側にある、世誇殿(よほこりでん)の工事の進行プロセスを見ながら、首里城の奥の世界を見ていきましょう。

完成予想図

この正殿後ろ側の未公開区域に初めて入ったときに驚いたのは、正殿の後ろ側の区域も、建物によって四方が囲われた広場のような平らな空間があったということです。ここは、後之御庭(くしぬうなー)と呼ばれ、聞得大君を中心として、祭祀儀礼がおこなわれていたようです。

私が思わず興味をもったのは、その儀礼は、どちらを向いて行われていたのだろうかということです。本殿の後ろ側を向いていたのか。それとも、弁ヶ嶽、久高島のある東側の世誇殿側を向いて行われたのだろうか。

首里城公園の方に質問してみましたが、「記録がないので、詳しくはわからない」とのことでしたが、祭祀の種類によって、別の方向を向いていた可能性もあるとのことで、実に興味深い空間ですね。

正殿の後ろ側から

世誇殿の建築が始まる前の風景です。

世誇殿の基礎工事

いよいよ工事が始まりました。

世誇殿とは、国王がなくなり、次期国王の即位の礼が行われた場所です。

ヘルメットをかぶって見学

世誇殿の建設現場へは、ヘルメット着用で見学しました。

屋根の作業

漆喰

 

女官居室

女官居室に関してはほとんど資料がなく、本来なら復元対象ではなかったそうですが、四方に囲まれた後之御庭(くしのうなー)を再現するための、建物が必要なので建築されたそうです。女官居室中のことはわからないため、イベントの衣装や小道具などをおくための倉庫に使用すると、関係者の方が話していました。

聞得大君を中心とした神女の儀式や、女官の暮らしぶりなど、奥の女性たちの世界については、記録がほとんどなく、秘めごとの多い世界ですね。

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琉球風水研究者/ロンジェ®琉球風水アカデミー学長 立教大学大学院修士(異文化コミュニケーション)。 沖縄国際大学経済学部地域環境政策学科 非常勤講師。 首里城や風水集落を通して、琉球王国の自然観と空間思想を研究。 ロンジェ®琉球風水アカデミーでは、風水×テーブルコーディネートを融合した講座を主宰し、伝統と現代をつなぐ実践教育を展開。 著書に『風水空間デザインの教科書』(ガイアブックス)。